中国人消費者を掴んだ2つのポイント
はま寿司は、わが国の価値観をベースにしつつ、日本産に頼らないサプライチェーンを構築し、現地の消費者の好みに合わせた。今後、急速な店舗拡大の中で、品質管理などを徹底することが求められる。
はま寿司と対照的に、国内での成功パターンを持ち込んだ企業の中には、中国市場で苦戦したケースが多いようだ。飲食だけでなく、家具、生活必需品、化粧品などの分野で苦戦する(した)日本企業も散見される。
共通するのは、日本企業の高品質や日本製の安心を前面に出す一方、価格や業態を現地に合わせきれなかったことかもしれない。その結果、景気減速が鮮明となる中、消費者は中国ブランドに流れる傾向も出たようだ。
はま寿司が二つのポイントを徹底することが、中国の消費者の支持を得るうえで重要だった。
一つ目は、客単価が競合の現地チェーンに対して、どの位置にあるかを明確にすることだ。中国市場ではま寿司は、高級和食と現地の格安チェーンの中間という空白の価格帯を突いた。競合他社より一段低い価格帯を中心に商品を提供し、同じ日系の競合からも距離をとった。
政治リスクを抑える供給網をつくった
もう一つは、日本産に頼らない供給網を構築したことだ。中国による日本産水産物の輸入停止のように、政治が調達を直撃するリスクが高まっている。2023年以降、はま寿司はそうした体制を整備した。
アパレルや日用品などの分野で中国での業績を伸ばしている日本企業にも、同じことがいえる。労働コストなどの上昇から、世界の工場としての中国の地位は低下した。一方、人口規模と所得水準の点で、世界の企業にとって中国市場の重要性は高まっている。中国市場で収益獲得を狙う日本企業にとって、はま寿司などの戦略に学ぶ点は多いだろう。
はま寿司などの中国事業戦略は、個人投資家にとっても参考になる点がある。中国関連の株式投資やビジネス上の取引において、どこに政治の影響が及ぶのかを明確に整理しておくことが重要だ。
中国の人々の信頼感を得ることができれば、彼らが自分の言葉で情報を発信してくれる。こうした発想を持つことは、長い目で見た中国との関係を考えるとき、とても重要になるはずだ。一時の感情論で、隣国=中国を見ることは適切ではない。じっくり腰を据えて、時間をかけてよりよい付き合い方を見つけるスタンスが必要だ。
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