リーダーに必要な胆力

役員になって、私もまたビジョンメーカーでなくてはと思うようになりました。ビジョンを語るのは社長の仕事と言われます。でも店舗数が470あり、それぞれにお客様、オーナー、スタッフがいるので、ボスひとりが伝道師ではビジョンが伝わり切りません。

トップと違うことを語ってはいけませんが、かといって受け売りでは魂がこもりません。自分の言葉で同じ内容を話す必要があります。最初は自信がありませんでしたが、今は自分のミッションのひとつと心得ています。

ビジョンを語ること以上に、リーダーシップで大切なのは胆力です。それを実感したのが3.11のときでした。東日本大震災が起きて私も大変動揺しました。そういう中で、社長はまず東北のFC店の安否を確認し、続いて店舗再開の判断を下します。

物流が分断され野菜が用意できません。それでも「ハムだけはさんで出そう。ハムもなければパンだけでもいい。我々は食べ物屋なんだから」と決断します。

震災の影響の大きかったある商店街で真っ先に店を開けたのがサブウェイだったと聞きました。みんなが動じているときに方向性を示し、全責任をもって即断する。リーダーは知識やスキルだけでは足りず、人間力が必要だと感じた瞬間でした。