「ついで」仕事でカン・コツを伝える

一つ、好事例を紹介します。

全国に店舗を展開するあるラーメンチェーン店は、麺の茹で具合を調整する方法、湯切りのポイントなど調理のコツや事例(プラクティス)を、スタッフが動画で撮影して社内SNSで投稿し共有しあっているそうです。その結果、各店舗の店長のスタッフ育成の負荷も減り、なおかつ店舗を超えて効率よく調理のポイントを学びあえるようになったそうです。

そのような、いわば職人のカン・コツを言葉で説明するのは難しく、マニュアルをつくる時間を確保するのも現実的ではありません。それこそ残業が増えてしまいます。

とはいえ「見て覚えろ」「習うより慣れろ」では効率も悪く、新入りのスタッフもともすれば嫌気がさして辞めてしまう。

沢渡あまね『定時で成果 残業ゼロでも目標を達成するチームづくりの教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
沢渡あまね『定時で成果 残業ゼロでも目標を達成するチームづくりの教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

この方法は、スタッフが店舗で調理をする「ついでに」手持ちのスマートフォンやタブレットでその様子を撮影し、少々のコメントを添えて社内SNSに投稿するのみ。

「わざわざ」手順を文章にしたり、マニュアルを作成する手間は一切ありません。

「わざわざ」を「ついでに」に変えるのは業務改善の基本です。

この取り組みにより、このラーメンチェーン店のスタッフは他店舗のスタッフのやり方を参考にし、学ぶことができるようになったとともに、動画で観たイメージを脳内に焼きつけて、「いまこのタイミングで、こう手を動かせばよい」など既視感をもとに技術を再現することも可能になったそうです。

〈行動を促す一言〉
言語化、マニュアル化で疲弊
既視感を醸成しませんか?

沢渡 あまね(さわたり・あまね)
作家/ワークスタイル&組織開発専門家

1975年生まれ。あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/浜松ワークスタイルLab所長/国内大手企業人事部門顧問ほか。「組織変革Lab」主宰、DX白書2023有識者委員など。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『問題地図』シリーズ(技術評論社)をはじめ、『新時代を生き抜く越境思考』(同社)、『職場の科学』(文藝春秋)、『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『仕事は職場が9割 働くことがラクになる20のヒント』(扶桑社)など著書多数。