「ワンパターン化する」という声もあるが…
なお、人によっては、「フレームワークを覚えると思考がワンパターンになったり、考え方にクセがついたりするのでは」と懸念するかもしれない。
確かに、得意なフレームワークにこだわるあまり、そのパターンに収まらない情報をうまく扱えなくなっている人も、時々見かける。
しかし、無軌道に考えるよりは反応速度が格段に上がるので、思考の速さを求めるなら、やはり型は覚えておいたほうがいい。思考の柔軟性は、「自分がいまどの型で考えているか」を自覚することで確保すればよい。
思考のアウトプットには、言語化の技術も欠かせない。そして、その上達に近道はないと思う。さまざまなインプットをした後、それを自分なりの言葉でアウトプットして、コツコツ練習するしかない。Xでもnoteでもいいので、自分の考えたことや言いたいことを文章にして世の中に出し、反応をもらおう。
特にXは、有料プランを除くと短くまとめざるをえないので、訓練用ツールとしてかなり優秀だ。相手のリアクションで、アウトプットの巧拙も測れる。
また、文章を書くのにかかった時間も意識したい。
理想は即レス、即投稿だ。
知的なアウトプットには、バリエーションが必要になる。そして、そのバリエーションを得るには、元ネタになるインプットが要る。結局は、読書量や日頃いい文章に触れているかどうかにかかってくるのだ。
大前提は「理解力」
なお、思考の土台の出発点になるのは、相手の話である。
当たり前のことだが、「相手の話を聞いて理解する」→「レスを返す」までの速さが、思考の瞬発力だ。だとすれば、まず相手の話を間違えずに理解する能力こそが、すべての土台になる。
この能力が高まると、相手の言いたいことを先読みできるようにもなる。瞬発力が近く、型も似た相手と思考が噛み合うと、二段飛ばしで会話が進むこともある。
逆に、ここに差があると、相手に「こいつ、理解力がないな……」と思われてしまう。これは基本的に、「話を類型化して理解する」能力である。
トレーニングとしては、相手が話し終わった直後に、間髪を入れず「要するに●●ということですか?」「つまり、●●という状況ですか?」と要約を述べるのが効果的だ。相手が頷いてくれれば成功、怪訝な顔をしたら失敗。場数を踏むほどうまくなる技術なので、日々の鍛錬がものをいう。
ただし、先に述べたように、慣れてくると話を先読みできるようになるが、それで先回りして相手の話を遮るのは御法度だ。人間は、最後まで気持ちよく喋りたいものである。興味ありげに、最後まで聞こう。結論泥棒にならないようにすると、嫌われずに済むぞ。
1982年生まれ、東京大学工学部及び東京大学大学院卒業後、戦略系のコンサルティングに従事しているベテランコンサルタント。専門分野は製造業で、その中でも特に重厚長大な産業が得意。中期事業計画の策定や新規事業の立ち上げ支援を中心に幅広いプロジェクトを通じてクライアントを支援している。仕事でたまったストレスを燃料にしてX(旧Twitter)にコンサルの業界ネタを投稿していたところ、内輪ネタで盛り上がってフォロワーが増加。あれよあれよという間にフォロワーが6万人を超え、最終的に出版につながった。著書に『プロの仕事と業界を覗いてみよう コンサルの歩き方』(ソーテック社)、『仕事が速い人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)がある。
