仕事がはやい人は、なぜはやいのか。戦略系コンサルタントとしてSNS上で活動する、とあるコンサルタントさんは「『仕事がはやい』と評価される人の特徴の一つに“レスポンスの速さ”がある。地頭がよく、頭の回転がはやくないとできないと思われがちだが、そんなことはない。ちょっとした“チート”を使えば誰でも再現することができる」という――。

※本稿は、とあるコンサルタント『仕事が速い人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)の一部を抜粋・再編集したものです。

【図表1】仕事が速い人は、考えがまとまる前に話し始める
出典=『仕事が速い人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)

頭の回転が速い人がやっている「ちょっとしたズル」

会議やミーティングで、上司や取引先から「●●について、どうすればいいか、何かアイデアある?」と尋ねられたとき、「●●は▲▲だから、■■して◆◆するといいんじゃないでしょうか」とパッと即答できたら、実に格好いい。

相手にとって有益な答えをさっと出せる人は、社内外の評価もうなぎ登りだ。

こうした思考の瞬発力は、頭の良さの一カテゴリである。

では、その思考の瞬発力は何で構成されているのか。

1 何かしらの問いが投げられてから、回答を「し始める」までの速さ
2 発言内容の精度

この二つが評価対象になっていることが多いように思う。順に見ていこう。

回答を「し始める」までの速さは、実はちょっとだけズルができる。

思考の瞬発力は、相手が話し終えてから、こちらが喋り出すまでの時間で計測されることが多い。

逆にいえば、相手が喋り終わってすぐに喋り出しさえすれば、その計測の上ではズルができてしまうのだ。

回答の前に置く“7文字”の言葉

「要するに~」と言って要約を始めるのもいいし、それが難しければ相手の質問をオウム返しにしてもいい。

あるいは「いい質問ですね」と言って間をつなぐのでもいい。とにかく、すぐに口を開くのが肝心だ。そして、喋りながら考え、話を組み立てていく。

その場で組み立てるのが難しければ、あらかじめ考えておいた話に接続するだけでもいい。事前にネタをいくつか仕込んでおけば、つなぐ先のバリエーションも増えていく。

政治家などの話がうまいとされる人は、たいていこの「即レスしているように見せかけて、考える時間を稼ぐ」テクニックのバリエーションが豊富だ。

ネット上の動画などもテクニックの参考になる。

テクニックを覚える→相手の主張を受け止める→それにすばやく対応する。

この武道のような一連の技術を習得すると、周りから「頭がいい」と評価してもらえるようになる。

思考の「型」を覚えて精度を上げる

一方、「発言内容の精度」はどうか。

思考の瞬発力には才能による面もあるが、地道なトレーニングで、かなりのところまで鍛えられる。私自身、どちらかといえば凡才寄りだが、地道な訓練を積むことで、瞬発力の高い人間であるように見せている。

地頭は、作れるのだ。

その方法の一つが、「型」を覚えることである。

ビジネスの世界で使われるフレームワークは、一通り覚えておこう。

といっても、複雑なものを丸暗記する必要はない。

次のアンゾフのマトリクスや4P分析、ファイブフォース分析、3C分析あたりの基礎的なものを押さえておくと、説得力のある資料を作ったり、図にして説明したりするときに役立つ(図表2)。

あとは、ロジカルシンキングやピラミッドストラクチャーは、息をするように使えるレベルにしておきたい。所詮はただの因数分解なので、これも日常的にやっていれば、簡単に身につく。

“出来上がったもの”から逆算する

さて、基礎的な型を覚えたら、次のステップに進もう。

世の中の資料や書籍を読むときに、「これはどういうフレームワークで作られているか」を考えてみるのだ。

例えば、どこかの企業を分析した記事や、企業が発表する経営計画を読むとする。そのとき、「3C(自社・競合・顧客)の要素が、すべて盛り込まれているか?」という観点でチェックしてみる。すると、解像度が格段に上がる。

もし、触れられていない要素があれば、そこからさらに深掘りできる。

「これは単なる書き手の手落ちなのか? それとも、あまり大っぴらには言及したくない、何か事情のある要素なのか?」といった具合だ。

型という「物差し」を持つことで、ただ漫然と読んでいたときには見えなかったものが、見えてくるのである。

このように、できあがったアウトプットが「どんな型で作られているか」を逆算して考えることを、「思考のリバースエンジニアリング」と呼ぶ。型を覚えるためのトレーニングとして、これが最適なのだ。

ただ型を暗記するだけでは身につかない。覚えた型を使って、実際のアウトプットを読み解いてみる。この「知識(型の暗記)」と「思考(型を使った読み解き)」をセットにして、初めて型は自分のものになる。

孔子も「學びて思わざれば則ち罔し(学んでも自分の頭で考えなければ、身につかない)」と言っている。

型を覚えると毎回ゼロから考えずに済むので、思考をショートカットでき、反応速度が上がる。車輪の再発明にも学びはあるが、時間がかかるので、端折れるところは端折っていこう。

「ワンパターン化する」という声もあるが…

なお、人によっては、「フレームワークを覚えると思考がワンパターンになったり、考え方にクセがついたりするのでは」と懸念するかもしれない。

確かに、得意なフレームワークにこだわるあまり、そのパターンに収まらない情報をうまく扱えなくなっている人も、時々見かける。

しかし、無軌道に考えるよりは反応速度が格段に上がるので、思考の速さを求めるなら、やはり型は覚えておいたほうがいい。思考の柔軟性は、「自分がいまどの型で考えているか」を自覚することで確保すればよい。

思考のアウトプットには、言語化の技術も欠かせない。そして、その上達に近道はないと思う。さまざまなインプットをした後、それを自分なりの言葉でアウトプットして、コツコツ練習するしかない。Xでもnoteでもいいので、自分の考えたことや言いたいことを文章にして世の中に出し、反応をもらおう。

特にXは、有料プランを除くと短くまとめざるをえないので、訓練用ツールとしてかなり優秀だ。相手のリアクションで、アウトプットの巧拙も測れる。

また、文章を書くのにかかった時間も意識したい。

理想は即レス、即投稿だ。

知的なアウトプットには、バリエーションが必要になる。そして、そのバリエーションを得るには、元ネタになるインプットが要る。結局は、読書量や日頃いい文章に触れているかどうかにかかってくるのだ。

向かい合ってミーティングをする2人のビジネスパーソン
写真=iStock.com/b-bee
※写真はイメージです

大前提は「理解力」

なお、思考の土台の出発点になるのは、相手の話である。

当たり前のことだが、「相手の話を聞いて理解する」→「レスを返す」までの速さが、思考の瞬発力だ。だとすれば、まず相手の話を間違えずに理解する能力こそが、すべての土台になる。

この能力が高まると、相手の言いたいことを先読みできるようにもなる。瞬発力が近く、型も似た相手と思考が噛み合うと、二段飛ばしで会話が進むこともある。

とあるコンサルタント『仕事が速い人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)
とあるコンサルタント『仕事が速い人がいつも頭においていること』(サンマーク出版)

逆に、ここに差があると、相手に「こいつ、理解力がないな……」と思われてしまう。これは基本的に、「話を類型化して理解する」能力である。

トレーニングとしては、相手が話し終わった直後に、間髪を入れず「要するに●●ということですか?」「つまり、●●という状況ですか?」と要約を述べるのが効果的だ。相手が頷いてくれれば成功、怪訝な顔をしたら失敗。場数を踏むほどうまくなる技術なので、日々の鍛錬がものをいう。

ただし、先に述べたように、慣れてくると話を先読みできるようになるが、それで先回りして相手の話を遮るのは御法度だ。人間は、最後まで気持ちよく喋りたいものである。興味ありげに、最後まで聞こう。結論泥棒にならないようにすると、嫌われずに済むぞ。

「すぐ話し始める」と「型で考える」で瞬発力は作れる