医療費控除でいくら戻る?

さて、聖美さんが昨年出産したとすれば、医療費控除の申告でいくらぐらい戻ってくるだろう?

聖美さんの昨年の医療費は、病院に払った費用(妊婦健診を含めて)60万円、入院時のタクシー代3000円、その他の医療費7000円で計61万円で、健康保険から出産育児一時金42万円を受け取ったとする。この場合の医療費控除の額は次のとおり。

<医療費控除の額>
(医療費)61万円-(出産育児一時金)42万円-10万円=9万円

会社員が出産したときに健康保険から受け取る出産育児一時金は、「保険などで補てんされる金額」として医療費から差し引く。なお、出産手当金は休職中の給料の替わりという位置付けなので、医療費から差し引く必要はない。

聖美さんの家庭では、夫婦の収入を一緒にして生活費や貯金に充てていて、出産費用もそこから支払った。そこで、昨年の年収が聖美さんより多かった夫が医療費控除を申告。夫の所得税率が10%とすれば、戻ってくる金額の目安は9万円×10%で、約9000円だ(所得税のほか所得税×2.1%の復興特別税がプラスされる)。

「なんだ、それだけ……」と思っただろうか? でも、医療費控除を申告すれば住民税も安くなるというメリットがある。住民税は昨年の所得に対して税額が決まり、今年6月の給料から天引きが始まる。住民税の税率は一律10%なので、こちらも年間9000円安くなる計算だ。所得税と住民税合わせて約1万8000円の節税になるなら、見逃す手はないだろう。