健康保険の使えない医療費や交通費も申告できる
とはいえ、「年間の医療費が10万円を超えるときって、そうないよね」というのが普通。だが、医療費控除では健康保険の対象にならない費用も申告できる。たとえば健康保険の使えない出産費用も対象になるから、子どもが産まれた家庭は医療費控除を申告する絶好のチャンス! また、健康保険適用外の高額な歯科治療費も対象になるし、入院や通院にかかった交通費や薬局で買った治療薬も対象になる。そこで、見落としがちな医療費を挙げてみよう。
<入院・通院>
・入院、通院のための交通費(自家用車のガソリン代、駐車場代は対象外)
・入院時の病院給食費、病院に払ったクリーニング代
・治療に必要な差額ベッド代
・人間ドックの費用、メタボ検診の費用(いずれも異常が見つかって治療した場合)
<妊娠・出産>
・出産時に入院するためのタクシー代
・出産や入院で病院に払った費用、助産師に払った費用
・妊娠中の定期健診や検査の費用、妊婦や新生児の保険指導料
・不妊症治療の費用
<歯や目の治療>
・金など保険が使えない高価な材料を使った治療の費用
・入れ歯の費用、インプラント治療の費用
・かみ合わせを直すための歯列矯正の費用(美容目的の歯列矯正は対象外)
<薬や器具など>
・調剤薬局で買った薬代
・治療のために買った市販薬代(予防目的は対象外)
・医師の指示で買った松葉杖や補聴器など
つまり医療費控除が認められるか否かの判断基準は、ひと言で言えば「治療のために使った費用か否か」ということで、思ったよりも範囲は広い。ただし、予防や美容のための費用は認められないから注意が必要だ。
また、医療費控除はその医療費を実際に負担した人が申告するが、生計が一緒の家族のために払った医療費を申告することもできるので、家族の医療費をかき集めてみよう。共働き家庭の場合なら、収入が多くて所得税率の高い人が申告すれば、戻ってくる金額が増えるので有利だ。
なお、申告の際は医療費の領収書を添付するか提示する必要がある。領収書のない交通費については、日付と金額を記入した一覧表を添付したり家計簿の記録を提示するなど、きちんと説明できるようにしておかなくてはならない。