動画概要欄に「基本的にフィクション」
一つは「嫌中」に特化したチャンネルだ。最も再生されていた動画は、AIで生成した画像を使い、ある中国人の「自業自得話」をAI音声で紹介していた。
内容は、中国人留学生がヨーロッパの街角で老人の杖を奪い、日本人にたしなめられ、大学を退学処分になるというもの。数十万回再生されていた。
本当にそんな話があったのだろうか。
概要欄をクリックすると、初めて「当チャンネルの動画は基本的にフィクション」と説明が書いてある。この動画にはコメントが数百件つき、内容を事実だと信じたとみられる人から「中国人はトラブルメーカー」「中国人は愚か。日本の足元にも及ばない」など、差別的な発言が並んでいた。
さらに、「フィクション」との但し書きがない動画も複数確認できた。
「日本称賛系」は40万回超再生の動画も
もう一つのチャンネルは「日本称賛系」だった。とはいえ、日本との比較対象に中国が選ばれることが多いようで、コインの裏表のようでもあった。
例えば、中国人の大学教授と、アメリカテスラCEOのイーロン・マスク氏にまつわる動画。教授が講演で、「日本は少子化と経済の停滞で、市場の魅力は薄れていく。日本から撤退し、中国に全力を注ぐべき」と発言したことに対し、マスク氏が「日本の市場は依然として魅力的。実際には中国よりも大きな可能性を秘めている」などと反論したという話だ。日本人からすれば溜飲が下がるような筋書きを、AI音声と静止画などで紹介している。
しかし、名指しされた教授の名前やマスク氏の発言を調べても、こうしたやり取りがあったという報道や一次資料は見つからない。それにもかかわらず、1年間で40万回以上再生されていた。
AIの無機質な音声で30分近く読み上げられる根拠不明なストーリーだが、数十万回再生の「ヒット作」が多数あり、コメント欄も差別的な言葉ばかりではあるものの盛り上がっていた。動画には広告も挿入されていて、チャンネルは盛況といえた。
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