“細かい氷”が効率よく熱を奪う

広島大学などの研究成果によると、このようにアイススラリーが効果的に深部体温の上昇を抑制する理由は2つあるとされる。

まず、アイススラリーの氷は、細かく、数も多い。このため、周囲と接する面積が大きくなり、効率的に周囲の熱を吸収しやすいという。また、シャーベット状で流動性があり、滑らかに飲むことができることから、体を内部から冷却することができるという。

国立スポーツ科学センターの「競技者のための暑熱対策ガイドブック【実践編】」によると、運動前にアイススラリーを摂取すると十分な深部体温の低下が認められるため、体重1kgあたり7.5グラム、60kgの選手なら450gを、こまめに摂取することが目安だという。ただ、低温の飲料であり、深部体温を十分に下げるには多くの量を飲む必要があるため、胃腸の不快感を抱く可能性があるという。

牛乳もアイススラリーもコンビニやスーパーで買える。8月が過ぎたとしても、40度近い日があるかもしれない。熱中症対策の1つの手段として、今回紹介した牛乳やアイススラリーを取り入れてみてはいかがだろうか。

なお、環境省(「熱中症環境保健マニュアル2022」)は、熱中症の症状が疑われるような場合には、涼しい日陰などに移動して体を冷やし、水分を補給することのほか、自力で水分の摂取ができないときは速やかに医療機関を受診してほしいと呼びかけている。

摂氏39度の温度を示す看板
写真=iStock.com/Hanafujikan
※写真はイメージです
飯銅 重幸(はんどう・しげゆき)
サイエンスライター

熊本県在住。早稲田大学法学部卒。2017年3月よりフリーのサイエンスライター。国内外の大学、研究機関、政府機関などのプレスリリース、論文、記事などを基に、解りやすいサイエンスニュースの執筆を行っている。得意分野は、宇宙(天文・宇宙開発等)、健康医療(がん・老化・生活習慣病・コロナ・ヘルスケア等)、古生物(恐竜、絶滅等)。