「皇族と国民で一つの家族」という無理
養子案についてリアルに見ると、養子側と養親側の双方とも困難な問題が横たわっている。
しかし、今回の典範改正では恒久制度化が図られた。「例外的」と断りながら、立法府の取りまとめでは特例法を予想していたはずなのに、わざわざ本則に「第6章」を付け加えた。
この制度が政府の思惑通りの結果につながった場合、皇室はどうなるか。頭の体操として、一応の未来図を描いておくことも無駄ではないだろう。
その際、考慮すべきは、先に述べたように内親王・女王の配偶者やお子さまの身分が、政府有識者会議報告書の通り無理やり国民という制度設計になっている事実だ。これに連動して、すでに皇統譜(天皇及び皇族の身分に関する事項を記載する公文書)に登録されている内親王・女王が、重ねて「住民登録」も義務付けられる前代未聞の制度になった。
日本人同士なら「家族は同じ身分」という近代以来の原則が、内親王・女王方だけに限って破られる。
憲法第1章(天皇)が優先的に適用される内親王・女王と第3章(国民の権利及び義務)が全面的に適用される配偶者やお子さまが“一つの家族”を構成することは、無理がありすぎる。
皇統を途絶えさせてしまう制度
天皇皇后両陛下の直系の皇女でいらっしゃる敬宮殿下さえも、ただ“女性だから”というだけの理由で、家族は皆さま一般国民とされる。一方、つい昨日まで民間人だった養子は“男性だから”というだけの理由でその家族はみな皇族とされ、その子が男子なら皇位継承資格も認める。逆転現象がひどすぎる。ばかりか、この制度が速やかに是正されない限り、天皇陛下が受け継いでこられた直系の血筋は、敬宮殿下までで途絶える(ちなみに女系でも皇統を継承できることは政府見解であり学界の通説)。
一夫一婦制で少子化という条件下では無理な「男系男子」限定ルールがそのまま維持されたせいで、悠仁親王殿下が男子出産への重圧によってご結婚の機会を逃されたり、男子に恵まれなかったりすれば、これまでの皇室の血筋そのものがそこで途絶える結果になる。幸い男子に恵まれても、先に述べたように無理な条件下なので、悠仁殿下お一方だけの血筋が長く受け継がれる可能性は低い。
つまり早晩、これまでの皇統は途絶える制度になっている。
養子はエンドレスに続く
一方、養子については、制度上、複数の養子も可能であり、養子案の推進者たちは「最低でも4人ぐらいは養子になっていただき……」という目論みだ(百地章氏「朝日新聞」7月18日付)。
恒久制度であり、血縁の遠さも問わない。よって、元民間人の養子が民間から養子を取ることも、世代を超えて無限に可能だ。
女性皇族はどなたも1代限りで、悠仁殿下の系統も男系男子限定だから、失礼ながら長く続くことは難しいだろう。それにひきかえ、養子の系統は男子がいなくても、結婚できなくても、新しく養子を取ればよい。なので、エンドレスに続く。