炭酸系入浴剤は「溶け終わってから入る」
ここで、炭酸系入浴剤の正しい使い方をお伝えしておきます。
よくあるのが、泡が出ているうちに入らなければ、とか、出てくる泡に体を当てた方がいい、という思い込みです。実は、目に見える泡そのものは、ほとんど効果に関係ありません。効くのは、お湯に溶け込んだ、目に見えない二酸化炭素のほうなのです。
この二酸化炭素が皮膚から吸収されると、一酸化窒素やプロスタグランジンといった物質を介して、血管の筋肉がゆるみます。その結果、血管が広がって血流が良くなる。これが炭酸系入浴剤の本当の働きです。
ですから、泡を浴びようと焦って入る必要はありません。むしろ、入浴剤を入れてから2〜3分ほど待ち、泡がおさまって、しっかり溶けきってから入るほうが効果的です。タブレットが溶けきる前に入るより、溶け終わってから入るほうがいいのです。なおかつ、入浴剤を入れてから2時間以内には入り終えるのが理想です。それを過ぎると、せっかくの二酸化炭素がお湯から抜けていってしまいます。
「湯船につかる習慣」を続けてほしい
正しく入浴することは、若々しさにもつながります。見た目の面でも、毎日湯船につかる方は肌がきれいだ、という美容の専門家の話も聞いたことがあります。
これも血流が関係しているのでしょう。皮膚の奥の基底層で細胞分裂が進み、古い細胞が押し出されて新しく入れ替わる。シワの原因になるコラーゲンも、血流が良くないと、それを作るための栄養が皮膚に届きません。血流を良くすることは、肌の若々しさにも欠かせないのです。
お風呂は、汚れを落とすだけの場所ではありません。各家庭に備わった「健康増進装置」であり、すでにエビデンスもかなり揃った生活習慣です。夏の間は、シャワーで済ましたくなりますが、ぜひ湯船につかる習慣を続けてください。
温泉療法専門医、博士(医学)。浜松医科大学医学部准教授、大東文化大学スポーツ・健康科学部教授、東京都市大学人間科学部教授などを経て、現職。公益財団法人中央温泉研究所理事、一般社団法人日本銭湯文化協会理事、一般社団法人日本温泉気候物理医学会理事、日本入浴協会理事。著書に『入浴 それは、世界一簡単な健康習慣』(アスコム)ほか。メディア出演も多数。環境省の「新・湯治効果測定調査プロジェクト」の調査の研究責任者を務める。