セクハラ運動会のあきれた実態
ジャーナリストの斎藤貴男が、その著書『機会不平等』で暴いた「夜のセクハラ大運動会」は、そうした日常が一気に露呈した場面である。
1999年12月、大手不動産会社・住友不動産の忘年会。会場では、幹部男性社員の号令のもと、派遣女性を含む競技が次々と行われていた。
「それではお待ちかね、ラブラブ・パン食いきょーそー!」
「待ってましたあ!」
ラブラブ・パン食い競争とは、男女が二人三脚よろしく片足ずつを結びつけ、肩を組み体を密着させておいて、一つのパンを両側から食べていくというゲームである。最後には口と口とが超接近することになるわけだ。
紙吹雪が舞い、歓声が上がる。卑猥な雰囲気が会場内を包んだ。ペアの相方にキスしてしまった男性もいたそうである。続いて、男性三人と女性二人のチームによる「恐怖のムカデ競争」。女性を男性が前後からサンドイッチにしながらの駆けっこ。「愛の一本足リレー」。男性四人と女性三人が交互に椅子に座り、手を使わず裸足でスリッパをリレーする。さらにまた、“競技”中の女性を捉えたポラロイド写真を競りにかけた「オークション」……。
夜九時近くまで続いた住友不動産「夜の大運動会」の主催は人事部、男性の参加者は手伝いの若手を除くと全員が部長代理以上の幹部社員。会社ぐるみのセクシャル・ハラスメント大会だった。
(『機会不平等』108~109頁)
この出来事の描写には、派遣という立場に置かれた女性たちが、どれほど無防備な状態で職場に立たされていたのかが、はっきりと刻まれている。