人事担当「とにかく大迷惑の一言」

一方、東洋経済オンラインに掲載された記事では、冒頭から「『大迷惑です。とにかく大迷惑の一言です』と吐き捨てるのは、退職代行から従業員の退職届を受け取った大手金融機関の人事担当者です」とはじまり、以下のような企業側の声を紹介している。

今野晴貴『会社で働くとなぜ幸せになれないのか』(SB新書)
今野晴貴『会社で働くとなぜ幸せになれないのか』(SB新書)

「お客様や関係者の迷惑を省みず突然行方をくらますって、社会人としていかがなものでしょうか。たとえ新人であっても、意思表示くらいは自分でちゃんとするべきで、擁護の余地がないと思います」(電機)

「退職代行を使うのは、「私は礼儀も常識もなく、最低限のコミュニケーションもできません」と宣言しているようなもの。呆れると同時に、その後の人生がどうなるのか、ちょっと心配してしまいます」(外食)

実際、企業側は採用計画が狂い、業務にも支障をきたす。教育係は徒労感にさいなまれる。若者の仕事観の変容は、企業のこれまでの労務管理の常識を通用不可能にしているのである。

今野 晴貴(こんの・はるき)
NPO法人POSSE元代表

1983年生まれ。仙台市出身。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。中央大学在学中に立ち上げたPOSSEを拠点にこれまで2万件を超える労働・生活相談にかかわる。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。著書に『ブラック企業』(文春新書)、『生活保護』(ちくま新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)など多数。