「風呂キャン」は脳疲労の最たるもの

1日の終わりにも大事にしたい習慣があります。脳疲労の回復には入浴が効果的です。

眠りにつくとき、体温が高いところから下がっていくときに眠りやすくなります。(※)7

eスポーツを通じた実験でも明らかですが、ゲームの後は手足が冷えています。これはパソコンやスマホを使った後も同じです。そのまま寝ようとすると寝つきが悪い。1日の終わりに入浴で末端の温度を上げておくことは、睡眠の質を上げることにつながります。

お風呂の温度は個人差がありますが、刺激にならない程度のぬるめがいいでしょう。また、炭酸入りの入浴剤を使うと、同じ温度でも血流が上がりやすく、温度が維持されやすい。疲れた後ほど、お風呂をキャンセルする人も増えていると聞きますが、それは脳疲労の負のループに入っているサイン。お風呂は「入らなきゃいけないもの」ではなく、心身をリラックスさせ、睡眠の質向上に役立ち、脳疲労を回復させてくれるものなんです。

泡風呂でリラックスする女性
写真=iStock.com/CentralITAlliance
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その場で効いて、かつ長期的にも役立つ習慣

ここまでで提案したのは、脳疲労にその場で効いて、かつ長期的にも役立つ考え方。朝タンパク質も低GI食もお風呂の習慣も、すべて「今日のパフォーマンス向上」と「長期的な脳の健康」の両立につながるものです。

たとえば、カフェインやエナジードリンクなどで、短期的に集中力をリカバリーするのは悪いことではありません。ただ、長期的に見るとマイナス面が心配です。大切なのは、今日の効果と3年後の健康の両方を意識することです。

将来的には、研究から得られた科学的知見を統合した「ブレイン・コンディショニング」の確立を目指しています。運動、栄養、休養、絆、環境の5つの柱で、現代人の脳疲労に自然な方法でアプローチする取り組みです。

健康のために何かをやりましょう、だけでは私たちはなかなか行動と習慣を変えることができません。でも、「今日・明日の仕事のパフォーマンスを上げたい」という目的と3年後の脳の健康という目標を掲げると、試してみようかなという意欲が出てきませんか?

もちろん、全部を完璧に行う必要はありません。朝に納豆を食べたり、1階分の移動を階段にしたり、お風呂の湯舟に浸かったりなど、一つの習慣からでも十分。できることから、快適さ優先で。始めることが大切です。

出典
(※)1.Benton, D., Ruffin, M.-P., Lassel, T., Nabb, S., Messaoudi, M., Vinoy, S., Desor, D., & Lang, V. (2003). The delivery rate of dietary carbohydrates affects cognitive performance in both rats and humans. Psychopharmacology, 166, 86–90.
(※)2.Lauritzen, L., Brambilla, P., Mazzocchi, A., Harsløf, L. B. S., Ciappolino, V., & Agostoni, C. (2016). DHA effects in brain development and function. Nutrients, 8(1), 6.
(※)3.Patan, M. J., Kennedy, D. O., Husberg, C., Hustvedt, S. O., Calder, P. C., Khan, J., Forster, J., & Jackson, P. A. (2021). Supplementation with oil rich in eicosapentaenoic acid, but not in docosahexaenoic acid, improves global cognitive function in healthy, young adults: Results from randomized controlled trials. The American Journal of Clinical Nutrition, 114(3), 914–924.
(※)4.Queen, C. J. J., Sparks, S. A., Marchant, D. C., & McNaughton, L. R. (2024). The Effects of Astaxanthin on Cognitive Function and Neurodegeneration in Humans: A Critical Review. Nutrients, 16(6), 826.
(※)5.Matsui, T., Takahashi, S., Funabashi, D., Ohba, C., & Nakamura, K. (2026). Acute milk-protein intake enhances pupil-linked executive function and esports performance during prolonged play. bioRxiv.
(※)6.Matsui, T., Takahashi, S., Yamaguchi, T., Funabashi, D., Imada, T., & Shimizu, H. (2026). A glycaemia-prolonging carbohydrate gel reduces hunger and cognitive fatigue during prolonged esports play. bioRxiv.
(※)7.Raymann, R. J., Swaab, D. F., & Van Someren, E. J. (2007). Skin temperature and sleep-onset latency: changes with age and insomnia. Physiology & behavior, 90(2-3), 257–266.

(構成=佐口賢作)