男の髪の悩みを解決する4つの方法

聞けば、男性の薄毛の悩みの解決には、大きく4つの方法があるという。自髪1本1本に人工毛髪を結び付ける「ポイント増毛」、人工毛髪を結着したライン素材を使う「ライン増毛」、人工毛髪を結着したネット素材を使う「クロス増毛」、そして人工毛髪を植え込んだ極薄素材を頭皮に密着させる「ウィッグ」だ。ウィッグは広範囲に気になる箇所をカバーしてくれる。

極薄素材の人工皮膚は、薄さなんと0.04mm。特殊な毛植え法でリアルな頭皮と毛穴を再現し、つむじまでリアルに再現したベースを「グルーイング」という方法で取り付ける。人工皮膚が地肌に自然になじみ、生え際もまずわからない。通気性まで考え抜き、24時間の装着も可能だ。

だが、実はここでポイントになるのが、人工毛髪だ。一般的にポリエステルで作られた人工毛髪は、独特の光沢が出てしまう。人毛との違いを浮き立たせてしまうのだ。

さらに、色味も重要だ。人間の髪の毛をよく見ると、さまざまな色が重なり合って「髪の色」を形成している。ひと口に「黒」と言っても、いろいろな色があるのだ。その独自の色味と合っていなければ、残念ながら違和感が生まれてしまう。なんとも繊細な問題だ。

アデランスが取り組んできたのは、そんな人工毛髪の研究であり、自社で人工毛髪の研究開発を推し進めてきた企業は、ほとんどないという。しかも、アデランスの人工毛髪開発の歴史は1983年以来、40年以上にもおよぶのだ。

ウィッグの原料開発という超難題

商品研究開発部サブマネージャーで、2016年に工学系大学院を卒業して入社した佐藤駿祐しゅんすけさん(34歳)は語る。

「原料の問題です。昭和期の人工毛髪は、耐熱性が低く、お湯で洗うとカールが取れてしまうような素材が主流でした。その後、加工のしやすいポリエステル系の原料を使うのが主流になっていきました。ところが、アデランスはポリアミド系のナイロンを使うことを考えるんです。ポリアミドは吸水性があり、人毛に構造が似ているという理由からでしたが、これは相当に難しいことだったようです。加工も難易度が高く、思うような太さにするにも、何年もかけて何度もくり返し開発をしなければいけなかった、という話を聞いています」

「アデランスの挑戦は、人工毛髪の原料にナイロンを選択したことです」と、佐藤さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
「アデランスの挑戦は、人工毛髪の原料にナイロンを選択したことです」と、佐藤さん

もともとウィッグには、人毛が使われていた。しかし、人毛には欠点があった。退色する、切れやすい、洗うと絡む。そして何より、いずれ入手困難になることが予想されたのだ。だから、人毛に近い人工毛髪を作る必要がどうしてもあった。

人工毛髪の太さは80ミクロン。実は洋服などに使われる繊維などよりも太い。逆に言えば、“微妙な細さ”でもある。そして当然、強度が求められることになる。

「実は、この太さで最初から加工されるわけではありません。機械から細く加工されて出てきたものを熱い水槽の中に通し、そこでちょうどいい太さになるように伸ばすんです。伸ばしたほうが、強度が高まるからです」