男女の「薄毛の悩み」には、どのような解決策があるか。アデランス商品研究開発部の佐藤駿祐さんは「大きく分けて4つの増毛法があり、そのうちの1つであるウィッグの品質は、市場の成長とともに日進月歩で進化している」という――。(前編/全2回)
アデランスの商品研究開発部サブマネージャー・佐藤駿祐さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
アデランスの商品研究開発部サブマネージャー・佐藤駿祐さん

「かつら」は時代で進化する

市場が先か、商品が先か。実際、その相乗効果からロングセラーが生まれるのだろう。ヘアウィッグ(かつら)市場も、その1つだ。国内ウィッグ市場規模は約1195億円前後とされ、なかでも医療用と女性向け製品が伸びている。

背景にあるのは、ウィッグに対する認識の変化だ。

薄毛をカバーするだけではない。自在にカスタマイズできる、髪を傷めずにスタイルを変えられる。しかも、見た目は驚くほど自然だ。ウィッグは「隠すもの」から、「使いこなすもの」へと変化した。

業界を牽引するのは、アデランスとアートネイチャー。この2社で市場の6割前後を占めるとされ、残る4割を、スヴェンソンなど中堅以下が分け合う。かつては男性向けが中心だった市場が、いまや女性向け製品の売り上げが成長の主役となっているのだ。

しかも、女性はウィッグをつけていることを、周囲の人たちにごく普通に明かすのだそうだ。「これ、ウィッグよ」と。そして聞いた側も、「あら、いいわね」となるのだとか。

さて、男性はどうか。

少なくとも知っておいたほうが良さそうなのは、今どきのウィッグは、市場の成長とともに格段の進化を遂げているということだ。さっそく、東京・品川にあるアデランスの本社を訪ねた。

正念場からの逆転劇を支えた2つの活路

アデランスは、1968年に創業。この業界を前へ、前へと牽引してきた企業である。だが、その歩みは決して平坦ではなかった。

2000年代後半、業績低迷という難局に直面する。2009年2月期には、売上高がピーク時の771億から約704億円にまで縮小し、最終赤字を計上。かつて業界を席巻した企業にとって、まさに正念場だった。

活路となったのは、海外事業の強化と国内女性向け市場への本格シフト、人工毛髪の技術革新だ。結果として女性向け製品の売り上げは、長らく主力だった男性向けを逆転。事業構造そのものが大きく塗り替えられた。

むろん技術革新は、業績にも直結する。世界で特許を取得した人工毛髪「バイタルヘア」などの開発を軸に、同社の売上高は2019年2月期には800億円台へと拡大し、ウィッグ業界のリーディングカンパニーとしての地位を確立。

さらに特筆すべきは価格戦略である。オーダーメイド・ウィッグの価格帯は数十万円以上の高価格帯でありながら顧客を集めてきた。これは、独自の研究開発力と品質への信頼があってこそ実現できた戦略だ。

なぜ、こうした逆転劇をなしえたのか。

その答えは、同社が長年磨き上げてきた“髪の悩みを解決する技術”にある。アデランスは、顧客一人ひとりの状態に応じた多様なソリューションを提供してきた。

いったいそれは、どのような選択肢なのだろう。