女性皇族に「異例の家族」を強制
自民党などは選択的夫婦別姓(別氏)に反対し、夫婦・親子で姓(氏)が違えば家族としての一体感や絆が弱まると言う。しかし政府のプランでは、内親王・女王殿下方のご家族は別姓どころか、「身分」自体が異なる。
妻=母親だけが「皇統譜」に登録されて、皇族としての責務を担い、権利の制約を受ける。夫=父親と子は「戸籍」に登録されて、一般国民として特別な制約や責務もなく、自由に暮らせる。そのような状態では、家族としての一体感は保ちにくいはずだ。
近代以降、“皇族の家族は皇族”であり、“国民の家族は国民”というあり方が例外なく貫かれてきた。にもかかわらず、政府は内親王・女王殿下方にだけ例外的に「異例の家族」を強制しようとしている。当たり前の感覚があればとても受け入れられないプランだ。
たとえば敬宮殿下の配偶者やお子さまが一般国民とされた場合、天皇ご一家に民間人がそのまま加わる形になる。違和感をぬぐいにくいのではないか。
麻生太郎氏のダブルスタンダード
自民党の麻生太郎副総裁は4月20日に開催された保守系の集会で「配偶者、子どもは皇族としないことが大前提だ。婚姻のハードルが上がってしまうなど、問題がある」と述べている。しかし、男性皇族の配偶者やお子さまは皇族なのに、これまで「婚姻のハードル」を問題視したことがないのではないか。まさにダブルスタンダードだ。
皇位継承の要請に応えるためならば、お子さまだけを皇族にして、配偶者は国民のままとする制度も可能だ。ところがそうなっていない。やはり家族としての一体感を重視しているためだろう。
にもかかわらず、女性皇族だけその一体感を壊してもよいと考えているのだろうか。
国会の全体会議では、上記①②のお粗末な政府案をもとに論議を続けてきた。そのプロセスで、立憲民主党などが常識的な反論を示し続けてきたのは、皇室の将来を真剣に考えれば、当然だった。これに対して、自民党などから説得力のある対案は、ついに出されていない。
そのせいで、「立法府の総意」にたどりつけないまま現在にいたった……というのが、残念な政治の現在地だ。
挫折した皇室典範の改正
全体会議後の記者会見で、立憲民主党「安定的な皇位継承に関する検討本部」の長浜博行本部長から注目すべき発言があった。
女性天皇、女系天皇を可能にする皇室典範の改正を明確に打ち出した小泉純一郎内閣当時の「皇室典範に関する有識者会議」の報告書(平成17年[2005年]11月)を取り上げ、「まさに皇位継承のあり方を国民に問う、この課題を真正面から捉えた内容となっております」と再評価したのだ。