専業主婦はツライ

私がユイさんに投げたのは、「結婚・出産後、仕事を辞めたいの?」との問いかけ。彼女はこう答えました。

「少し前までは、『専業主婦っていいな』と思ってた。でも最近、専業主婦の姉が“うつ”になっちゃって……。ずっと家にいるって、結構ツライらしんですよね」

そう、私も3年前、拙著『「婚・産・職」女の決めどき』(大和書房)の取材で、ビックリしました。1年間取材した東京・豊洲エリアの専業主婦(ママ)たちは、なんと9割がパスモやスイカ(ICカード乗車券)を持っていなかった。平日はクルマで遠出もしないので、「近所以外には、ほとんど行かない」とのことでした。

また、自分に収入がないのを少なからず引け目に感じ、500円の本を1冊買うだけで「夫に聞いてみないと」と嘆いていた。その点では、ふだんオシャレで明るい彼女たちからは想像もできない、“内向き”志向だったのです。

これまで、1500人以上の女性を取材(含:グループインタビュー)してきた私は、確信しています。専業主婦になるには、3つの「才能」がいると……。すなわち、

1. 高年収の男性に早くから“ツバ”をつけてゲットできる才能
2. ずっと家にいても、家族に尽くすだけで「幸せだ」と感じられる才能
3. 夫がリストラ不安に怯えても、「なんとかなる」と楽観視できる才能

とくに昨今は、3が大事。

バブルの時代、年功序列・終身雇用が守られていた社会では、高年収男性をゲットすれば「あがり」で、ほぼ一生安泰と思って間違いなかった。でもいまは、一寸先は闇。パナソニックほどの大企業が1万人規模のリストラ策を打ち出す時代です。

性格的に、「まぁ夫がリストラされても、なんとかなるわ~」と能天気でいられる女性はいいですが、そうでなければ夫だけの年収に頼ると、あまりにリスクが高すぎる。不安も募り、ストレスも溜まるでしょう。

ユイさんも、「私もせっかく(大学)院まで出たから、何かの形で仕事は続けたい」と言います。だとすれば、彼女の人生に“フィット”するのは……?