メンタルヘルス上は「SNSを使わない」が最適だが…

メンタルヘルスの観点からいえば、対処法として「SNSを使わない」というのがいちばんいいのです。しかし、そうもいかないのが実状でしょう。

それに、SNSにはよい部分もあります。嘘や極端な情報が多いとはいえ、テレビや新聞が流す画一的・教科書的な情報とは異なる情報・意見を得られたり、専門家の発信に直に接することができるというメリットは得難いものがあります。

1つのテーマでも、いろいろな意見を拾えることは大事です。たとえばXひとつとっても、「高市総理」に関する話題をめぐって、「自分こそ正しい」と思う人が何人もいて、次々発信しています。「サナ活」をしているファンからアンチまで、あるいは排外主義の人からリベラルまで、多種多様な意見が流れています。

それを見て、「いろんな意見があるんだな」「自分はこの人の意見に近いな」「でもこちらの意見もこの部分についてはなるほど賛成できるな……」と受け止めればいいのです。1つの意見が「絶対善」だと信じ込むと、それとは異なるほかの意見について感情的になりストレスを抱え込むことになります。

アドラーの教え「課題を分離せよ」

SNSで発信する際に、念頭に入れてほしいことがあります。それは、「自分が発信した意見によって他者の意見を変えさせようと期待しない」ことです。

心理学者のアルフレッド・アドラーは、「すべての悩みは対人関係の悩みである」としたうえで、人間関係を円滑にするためには「課題の分離」が大事だといっています。人間関係でトラブルが起きたとき、それは自分の課題なのか、相手の課題なのかを分けて考え、相手の課題に踏み込まないことが大切だと説明しているのです。

どうにかして相手の気持ちを変えようと、SNS上で四苦八苦している人が多いと思います。相手に好意を持ってもらうためにいろいろと努力することは「自分の課題」ですからいいのですが、それに対して相手がどう思うかは「相手の課題」なのです。

ですから、こちらが努力したからといって、相手が変わると期待してはいけません。こちらの努力をどう受け止めるかは、相手に任せるしかないのです。