好きなことを徹底的にやる

私は、鉄道模型に対する父の姿から「好きなことを徹底的にやること」の大切さを学んだ。

特にものづくりに対する絶対的なこだわりは、父から学んだものだ。

父は同じ機関車をつくっても、次は必ずそれ以上のものを目指そうとしていた。つねに改良を重ね、より完璧な作品を生み出そうと懸命に取り組む。自分自身に挑戦を続ける姿に、子どもながら強く惹かれたのを覚えている。

原丈人『THE BEST WORK 「最高の仕事」を生きる』(サンマーク出版)
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95歳で亡くなるまで、1500台を自作し、約4000台を収集した父の鉄道模型は2012年7月、横浜に開設した「原鉄道模型博物館」に展示されている。この鉄道模型を見て、「同じ投資をするなら、機関車ではなく絵を集めてくれたほうが将来の値上がりが期待できてよかったでしょう」と言う人もいる。鉄道模型に興味のない人からすると、財産的に無価値なおもちゃに見えるのだろう。

だが、それは違う。

父は美術品の値上がりを“価値”とは考えていなかった。好きを貫き、こだわり抜いた本物にしか宿らない価値がある。私は鉄道模型に対する父の姿から「好きなことを徹底的にやること」の大切さを学んできた。

原 丈人(はら・じょうじ)

1952年、大阪生まれ、慶應義塾大学法学部卒。財務省参与、国連政府間機関特命全権大使、ザンビア共和国大統領顧問、米共和党ビジネスアドバイザリーボード名誉共同議長など国内外で公職を歴任。2013年から日本の内閣府参与。