【ポイントその②】師匠・メンターを作る

「もう一人の自分」「新たな自分」を見つける要素として、「人」はたいへん重要である。

まずは自分にとっての師匠を持つのがいい。といっても、ここでの師匠は、落語家の師匠とか大学の先生とかに限らない。「あのような人になれたなら」「あの人がやっているようなことに取り組みたい」といったように自分のお手本になる人を見つけるのである。できれば、手の届く範囲の人であることが望ましい。

自分の好きなことや、やりたいことを頭の中で抽象的に探しているだけでは、なかなか具体像は見えてこない。そこで、自分のやりたいことや、それに近いことをしている人の姿を目にすると、具体的なイメージが浮かび、次のステップに進みやすい。

取り組んでいることは必ずしも自分と同じものである必要はなく、柔軟に考えて「こうありたい」と思う人物を参考にすればいい。

その人に簡単に近づけない場合には、自分の中でその人を師匠と定め、行動を進めていくことだ。私はこの関係を「勝手弟子」と呼んでいる。その人が自分の目標にならなくなったら別の師匠を探せばいいのである。

また、新たな自分を見つけることを手助けしてくれるメンターとの出会いも大切だ。新しいことに挑戦をする時には、協力してくれる人が現れるものだ。次のステップに進む有効なアドバイスを与えてくれたり、ふさわしい人を紹介してくれたりする。

求めよ、されば出会いが与えられん

一般には、当事者が渇望感を持って何かをやりたい時に師匠やメンターが現れることが多い。

直接の上司や一緒に机を並べている先輩が、師匠やメンターの役割を担うことは稀である。社外にいる人や会社との接点にいる取引先、元上司などが現れることが多い。師匠やメンターがいることで、次のステップにスムースに歩み出すことができる。

自分のありようを誰かに重ねてイメージするという、いわゆるロールモデルを見つけるのは、どちらかといえば女性のほうが得意であるようだ。男性はどうしても頭を使って理屈で考えがちなので、女性ほどはあこがれの人の雰囲気をそのまま感じ取れないことが多いのだと推測している。