“病人や高齢者を切り捨てよ”という論調が支持を集める

医師は人を救うが、ある意味では社会制度もまた人を救う。樺嵯斗さんが社会制度に救われたことは前編でも触れた。“持ちつ持たれつ”の関係を社会全体で構築し、体現したのが高額療養費制度だろう。だがこうした医療制度が非難の的になる場面もある。

2024年度、病気やけがなどで医療機関に支払われた日本の医療費(概算)は過去最高の48兆円に到達した(厚生労働省「令和6年度 医療費の動向」)。

よく用いられる比較として、日本の名目GDP(国内総生産)と医療費の増加率がある。厚労省がまとめている「国民医療費の概況」の最新発表分に基づくと、1975年から2023年までのGDPは3.9倍にとどまるのに対して、医療費は7.42倍と圧倒的な増加を見せる。医療費がここまで膨れ上がったことの要因には高齢化があるとされ、65歳以上の高齢者の医療費が全体の6割を占めている。