※本稿は、有田秀穂『スマホ中毒からの心のモヤモヤをなくす小さな習慣』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
人間は「夜」に寝るようにできている
いうまでもなく、地球上のすべての生き物は、睡眠と覚醒の周期的な変動を繰り返すことで、生命の営みを途切れることなく継続してきました。
脳も心も体も、太陽の出ている昼間に活発に活動し、太陽が沈んでいる夜に、睡眠して休息しエネルギーを補給します。
その仕組みは、頭のてっぺんから足の先まで、60兆個ある細胞すべてにあります。各細胞の遺伝子に「時計遺伝子」が備わっているのです。
ただし、60兆ある細胞がバラバラに24時間のリズムを刻むのではありません。
それぞれが同期して活動するように、脳の視床下部に「主時計」がきちんとあって、その時刻信号が、神経やホルモンを介して全身の細胞に送られ、同期してバイオリズムを刻むように、出来上がっているのです。
この「主時計」は、自分の意思で勝手に修正することができません。
無意識のうちに繰り広げられる「自律機能」なので、大脳皮質によるコントロールは利かないのです。
ですから、人間が勝手に昼夜逆転の生活を継続していると、やがて体のあちこちに不調が現れて、病につながってしまうのです。
心地よい眠りに導く体内睡眠薬「メラトニン」
睡眠について、現在知られている医学的知識を整理しておくことにします。
私たち人間は、自前の〝睡眠薬〟を夕方になると合成し、睡眠の導入と維持に活用しています。その睡眠薬の名前が「メラトニン」です。
メラトニンは脳のほぼ真ん中に位置する松果体で合成・分泌されます。
その合成は、視床下部の「主時計」の指令を受けて制御されています。
「主時計」と松果体は神経でつながっていて、その一方で「主時計」は網膜と神経でつながって、網膜に太陽光が当たっている昼間には、メラトニンの合成ができないように抑制がかけられているのです。
したがって、夕方、太陽が沈むとその抑制が外れて、松果体でメラトニン合成が始まります。
つまり、日没とともにメラトニン合成が始まり、日の出とともに合成が止まるというわけです。完全に太陽光で制御されているのです。
大事な点は、「太陽が出ている昼間にはメラトニンは作られない」ということです。「カーテンを閉めて部屋を暗くすれば?」という疑問もありそうですが、メラトニンに関しては、これは無意味です。

