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外務副大臣 山口 壯(やまぐち・つよし)
1954年、兵庫県生まれ。79年東京大学法学部卒業後、外務省入省。89年米国ジョンズホプキンス大学国際政治学博士。外交官として各国大使館に勤務。2000年総選挙で初当選。03年落選後、05年に復活当選、11年内閣府副大臣。同年外務副大臣就任。


 

アメリカの一流大学で博士号を取得するほどのインテリ。洗練された立ち居振る舞い。そして若々しいルックス。外務副大臣としての記者会見も自分の言葉でこなす。もっと注目されていいはずなのに、一皮むけない。

理由は2つ。選挙に弱いことと民主党プロパーではないこと。外務官僚からの転身。政界に引き抜いたのは剛腕・小沢一郎氏だ。イギリス大使館など海外勤務の際に、小沢氏をアテンドし、関係を深めた。ところが小沢氏率いる新進党から1996年総選挙に出馬するも落選。2000年に無所属で当選するが、「無所属の会」で03年に落選。05年に民主党公認として返り咲く。その後小沢氏と離反したが、これまでの因縁があだとなり「反小沢」で凝り固まった現体制での信頼度は低い。

去年3月には、松下政経塾出身の玄葉光一郎氏を支えるためのグループを発足させたが、これが「片思い」。玄葉氏には権力闘争に乗り出す決意もなく、グループは開店休業状態。それでも玄葉外務大臣のもと副大臣に起用され、得意の外交でサポートしようと意気込むが外されてばかりだ。

「尖閣諸島国有化」も「外務省人事」も、新聞に出るまで知らされていない。玄葉氏からは「少人数で決めないと情報が漏れる」と切り捨てられたという。周辺には「外務省人事をリークしたのは玄葉だ。大臣の器じゃない。官僚の子分だ。総理になりたいようだがそのときは絶対阻止する」と怒り心頭だ。届かぬ思いは、憎悪となって燃え盛る。

そして今、「松下政経塾出身者による支配の打破」を目指す。「脱官僚」は民主党の原点。野田総理をはじめ「塾」出身者が官僚と二人三脚となった今、その原点に戻ることが重要だ。その先頭に自らが立つもよし。怒りを前向きなエネルギーに変換してほしい。

(PANA=写真)
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