ボーナスシーズン到来、6月30日は公務員のボーナス支給日だ。2000年前後に多くの企業が導入した成果主義によって、ボーナスの決め方が変更されたことをご存じだろうか。新刊『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著 プレジデント社)より、サラリーマンのボーナス最新事情をお届けする。

賃金制度の変更に隠された会社の思惑

かつてはボーナスは給与の一定月数を支払うのが一般的でした。給与が上がれば、その分が反映されてボーナスも上がり、外国人は“13カ月目の給与”と呼んでいましたが、今は給与と必ずしも連動していません。

じつは2000年前後に多くの企業が導入した成果主義によって月給とボーナスの決め方が分断されたのです。月給は多少年功的要素を残した安定的な給与にする一方、ボーナスは個人業績と会社業績や部門業績で変動する仕組みに変えたのです。もちろん会社業績や個人業績が上がればボーナスも増えますが、それ以上に会社には“うまみ”がある仕組みなのです。

『人事部はここを見ている!』溝上憲文著(プレジデント社刊)

電機メーカーの人事課長はこう言います。

「以前は業績に関係なく一定月数のボーナスを支給していましたが、今は会社の業績がよければ自動的に上がり、悪ければ自動的に下がります。固定費から変動費に変えたことで会社の懐は痛みません。個人業績分も加味されますが、会社や部門の業績が悪いのに高いパフォーマンスを出す社員はほとんどいません」

懐が痛まないどころかボーナスの総額を減らすことに成功したと語るのは小売業の人事部長です。

「賃金制度改定の目的は成果連動型の制度の導入と総額人件費を2割減らすことでした。制度設計にあたっては、過去10年間の賞与支給額の平均額を出し、それよりも2割程度低い総額をベースに賞与額の支給計算式を作りました。労働組合もさすがに気がつきませんし、社長には褒められました」

会社業績連動型賞与の算定根拠を複雑化することで賞与総額を抑制した企業は少なくありません。そこで思いだすのは2000年代初頭の春闘から経営側が言い始めた「企業業績の向上分は賃金ではなく賞与に反映する」との主張です。それ以来、ベースアップ(賃上げ)なしの回答が続いてきましたが、2014年と15年はベアが実現しました。

しかし、経営側は「月給を上げると固定費が増加し、財務体質の悪化を招く恐れがある。それよりも会社の業績で変動する賞与に反映したほうが将来的にも得だ」というのがホンネなのです。

※本連載は書籍『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著)からの抜粋です。