新NISAを勧める意見と絶対やるなという意見がある。どっちを信じたらいいのか。経済アナリストの森永康平さんは「新NISAに反対する方の多くは2つの理由を挙げる。『危ないからやるな』『バブルが弾けるからやるな』というもの。新NISAはこの2つの点について自分の意見をしっかり持ってから始めるほうがいい」という――。

「危ないからやるな」という人たち

今話題になっている新NISAについて、僕は「いい制度であり、旧NISAに比べて明らかによくなった」という意見です。だからといって、投資に興味がない人に今こそ始めるべきだというつもりはさらさらありません。もともとNISAに興味がある、これから投資を始めたいと思っている、そんな人なら新NISAを使わない手はないですよというスタンスです。

経済アナリスト 森永康平さん
撮影=プレジデントオンライン編集部
経済アナリスト 森永康平さん

「新NISAは絶対にやるな」という人もいますね。親父(経済アナリストの森永卓郎氏)もその一人ですが、そういう人たちの多くが挙げる理由は「危ないから」。でも、そもそも投資はリスクをとるからこそリターンが得られるわけで、この点はどんな投資でも同じです。

確かに、新NISAを始めようとしている人の中には「政府がこれだけ薦めているんだから損しないだろう」と思い込んでいる人もわずかながらいます。そうした人は投資がどんなものかわかっていないと思うので手を出すべきではないですし、もちろん新NISAもやらないほうがいいでしょう。

「もうすぐバブルが弾ける!」説

もうひとつ、やるべきでない理由として「もうすぐバブルが弾ける」という意見があります。思い返せば親父は僕が物心ついたころからずっとバブルが弾けると言い続けていたように思います。

日経平均株価が年始から2カ月ほどで2割も上がっているので、この上昇スピードは早すぎる、異常だという点は僕もその通りだと思います。

でも、そこから先の考え方は全然違います。反対論者の方々は「株価がバブル期の1989年の最高値を超えた、いよいよバブルが弾けるぞ」というけれど、僕はまったくそうは思いません。

株価が高いのか安いのかを判断するための指標のひとつに「PER(株価収益率)」があります。株価が企業の1株あたりの純利益の何倍になっているかを示すもので、これを見ると今の日経平均株価のPERは大体16倍台の後半ぐらい。ここ20年ほどのスパンで見れば確かに上限近くまで上がってきてはいますが、バブル絶頂期のPERはおよそ50倍を超えています。

「日経平均株価が4万円前後になった、バブル期を超えた」と騒いでいる人もいるけれど、PERが3倍以上違うわけですから今は全然バブルじゃない。これが株価もバブル期の3倍以上、たとえば10万円超えとかになれば僕もバブルの再来かと考えますが、今はそうなってはいません。