再重要ポイントは「積み立て額」

これから新NISAを始める人には、大事にしてほしいポイントが3つあります。まず、30年ぐらいは続けるつもりで始めること。つみたて投資における複利の効果は長く続けるほど発揮されるものなので、数年後の出費に備えるために使うのはおすすめできません。老後資産として考えるのがいちばん向いていると思います。

2つ目は、積み立て額は「30年忘れておける額」に設定すること。これは長く続けるために絶対に押さえておいてほしいポイントです。つみたて投資は毎月、自分で設定した一定額が引かれていくので、初めからないものとして考えられる程度の額でないと続けられません。

なので、子どもの教育費や住宅ローンの返済など、いつか使うことがわかっているお金は別に取っておいたうえで、それでも無理のない額を設定する必要があります。「今は大丈夫だけど急にお金が必要になったら取り崩さなきゃ」と不安になるようなら、そもそもの設定額に無理があると考えてください。

1度設定した後は、よほどのことがない限り30年間は自分が投資をしていることすら忘れていられる――。そのぐらいの額にすることが大事です。そうでないと長く続けられず、結果としてつみたて投資が持つ力も十分に活用できません。

「30年忘れておきましょう」の深い理由

3つ目は、最初の投資元本だけを運用し続ける「単利」はなく、運用益を元金に組み入れながら投資し続ける「複利」を選ぶこと。日本人は長い間ゼロ金利の中で育ってきているので、世界的に見ても複利の考え方が弱いとされていますが、複利によって投資する金額を増やしていくと、投資期間が長いほど効果が高くなります。

【図表1】100万円を年利5%で運用した場合の複利と単利の違い

ただ、複利を選んでも最初の5~7年ぐらいはさほど効果を感じられないでしょう。単利の場合と差がつき始めて、複利にしてよかったと実感できるのはその後です。さらにその後、20~30年も続ければ元本と運用益を含めた資産額は単利とまったく違ってきます。僕が「30年忘れておきましょう」というのは、この複利の力を存分に発揮させるためでもあります。