自分の「幸せ」が定義できていれば、優先順位がつけられる
こうした考え方をするようになったのは、学生時代に経済学を学んだことが影響しています。
経済学というとお金儲けのための学問というイメージがあるかもしれませんが、経済学の大目的は「幸せになること」。幸せになるために、どのように資源を振り分けるのが最良かと考えるのが経済学です。
幸せになりたい。しかし、多くの場合、幸せになるための資源には限りがあります。たとえばひと月に20万円というお金で、もっとも幸せになるためには、何にいくらお金を使うべきでしょうか。
この優先順位をつけるためにまず必要なのは、「幸せ」を明確に定義することです。住環境が充実していると幸せだと思う人は、家賃や家具などにお金を多く使うべきでしょう。家にはこだわりがなく、休みのたびに旅をすることが幸せだと感じる人は、住宅にかけるお金を減らして旅行費の割合を増やすべき。そうしたことを判断し選択していくのが経済学のアプローチです。
この経済学のアプローチは、お金や時間などあらゆるものに応用できます。その場合も大前提として同じことが言えます。
幸せになるためにまずすべきことは、自分の幸せを定義すること。自分にとっての幸せとはどういう状態かをわかっている人は、その状態を目指して具体的に動き出すことができます。
私の幸福度は10段階のうち「2万」
余談ですが、市長として中学生に向けて話をすることがあります。
そのときも私は「幸せになるためには、まず自分の幸せとは何かを考えなければいけない」と話すのですが、その前段として「今の自分の幸福度はどれくらいか考えてみましょう。10段階でどれくらい幸せですか」と聞きます。だいたい今の中学生は「6」くらいのようです。
そこで私は「私が中学生の頃なら『8』と答えていたでしょう。では今の私の幸福度はどれくらいかというと……『2万』です」と話します。
だいたいの中学生が「10段階と言ったのに2万なんておかしいじゃないか」と納得のいかない表情をしますが。なぜそれほど私の幸福度が跳ね上がっているかというと、これまでの人生において都度、自分の幸せを定義し、それを手に入れるための行動をし、達成してきたからなのです。