高1までに英検準1級がマスト
英語の入試問題は、さらに難しくなっていく可能性が高い。
「今、難関大学では英検準1級くらいの語彙で試験が行われていますが、これが1級くらいの語彙になることは十分にありえます。それぞれの大学は学生を、いわゆる“世界で活躍する人材”として育てたいと願っている。その場合、入試で必要とされる英語力はどれくらいか。今、海外留学に必要なTOEFL iBT®スコア80以上の英語力が、国内大学の入試にも求められるようになるのではないでしょうか」
「大学受験の英語力が、将来、世界で活躍するための武器になる」
そう聞いても、ピンとこない親世代は多いだろう。かつて受験英語は実用性とはかけ離れたものだった。しかし、今の受験英語は非常に実践的であると、斉藤氏は力説する。
「昔の試験問題はひどかったですよね。英語として使わない不自然な表現がよく使われていました。でも最近の問題は違います。弊社で働く英語母語の講師に尋ねても、英語の試験として自然な出題が増えたと評価しています」
斉藤氏によると、過去約30年間にわたって、大学をはじめ教育機関での外国人講師の採用が増え、その結果として大学生の英語力が向上したのみならず、それ以上に、中学校や高校で教壇に立つ日本人教員たちの英語力が大きく向上したのだという。また、英語圏在住の経験を持つ大学教員の比率も大きく増加した。
そのことが、入試内容にも大きな変化を起こした。以前は、入試問題は英文科の先生が作成していたのだが、近年は各学部の先生が直接作るケースが増えた。その結果、大学教育に直結する英語力を問うようになったというのだ。
「一例として、慶應義塾大学医学部の入試問題があります。1989年のものは、空所を補充するという出題傾向でしたが、2021年の問題は、移住者に対する医療はどうあるべきか記述しなさいとか、ワクチンの薬物耐性についての英文を読んだうえで質問に答えなさいなど、医学そのものに興味のある学生を採りたいという問題が出ています。英文を読んで、それについて自分の考えを記し、英文から引用して文章を書くなど、アカデミックライティングの基礎を、大学入試で求められているのです」
前述の横川氏が指摘するビジネス英語と同じで、大学入試でも高度な概念について英語を使って自分の意見を記すことが求められてきているのだ。
斉藤氏は自身の塾の生徒たちには「高校1年生までに、できれば英検準1級クラスのスキルを身につけてほしい」と指導しているという。
英語がますます必要になっていく時代。では、家庭ではどうすればいいのだろうか。