「サークル対話」「仕事」…時間割も独特
大日向小の1日はどうなっているのだろうか。
保護者のやつづかさんによると、毎朝スクールバスで8時30分までに登校し、「サークル対話」で一日が始まる。これは、グループリーダー(担任教員)と子どもたちが円状に座り、あるテーマについて話し合ったり、週末の出来事や一日の予定を共有したりする。日によっては読み聞かせもあるという。
時間割は教科で区切られておらず、カリキュラムは、学習指導要領にのっとって編成されている。
ワールドオリエンテーションは“イエナプランのハート(核)”と呼ばれる「教科横断的」な学習で、カリキュラムの中心となっている。1週間のうち7時間が充てられ、2年で7つの領域について学ぶという。
その学びに必要な事柄や基本的な学習事項は、ブロックアワーの時間に学ぶ。子どもたち自らが「仕事」と呼ばれる課題をスケジュールに落とし込み、1週間ごとに振り返りを行う。
「自分以外はすべて外の世界」という考え方
「ワールドオリエンテーションは、『自分以外はすべて外の世界』という考えなので、決してワールドワイドという意味ではないんです。道端に咲いている植物を観察したり、学校法人でお借りしているプルーン畑で摘果から収穫、販売までのルーティンを体験したり。
例えばプルーンの果実ひとつとっても、なぜここにプルーンの実がなって、なぜ畑があるのか? という問いにつながります。すると、大日向地区の農業や歴史、気候という理科的な要素にまで関わってきますし、販売では国語や算数の力も必要です。探究活動と教科学習を連動して行う、そんなサイクルを大事にしています」
また、公立小と違うのは「何時間目」という区切りがない点だ。1年生~6年生まで全学級が15時10分(水曜日は13時10分)に授業を終了する。
宿題はなし、ゲームでも自然でも遊べる
ある日の校内では、このような声も飛び交う。来客に「校長先生はいますか?」と問われた児童が、「校長先生はあっちです。くわまーん(校長のあだ名)!」。「ねぇ、たくみょう(教頭のあだ名)ってさ、苗字なんていうの?」「……宅明が苗字だよ」(教頭)。教師と子どもが同じ目線にいるのも特徴だ。