デジタル化の足を引っ張る“忖度競争”

国会議員ばかりを責めているように見えるかもしれませんが、実は議員と同じくらい足を引っ張っているのが、各省庁の幹部クラスです。幹部の出世への道は、“どれだけ上に気を使えるのか競争”であり、“どれだけ忖度できるか比べ”なので、求められてもいないのに対面で説明しに出向くことを決めて、部下にも強要した幹部も多かったようです。

背景には、「議員はデジタル化を嫌がっているだろう」という思い込みと、自分自身がデジタルツールを使いこなせないことの2つがあると思います。おそらく、議員に求められたことによる対面レクと、議員に直接求められていないのに忖度した対面レクが半々くらいではないかと思います。

クラスター発生や大災害でも行政を止めないために

こうした体質を変えるためにまずやるべきなのは、予行演習です。今回のコロナ禍のようなケースだけでなく、大きな災害が起きて職員が登庁できなくなることを想定し、全員が2週間リモートワークを行うのです。災害で道路が寸断されたら復旧に2週間くらいはかかりますし、新型コロナのような感染症のクラスターが省庁内で発生したら、消毒作業や職員の検査などが必要ですから、自宅待機が解けるまでに2週間くらいかかります。

もし本当に、災害や感染症のクラスター発生などで、大臣や職員が登庁できなくなり、リモートワークに切り替えざるをえない事態となったとき、「想定していなかった」「回線の状態が悪くて大臣の声が聞こえない」ではすまないはずです。

実際にやってみれば、意外と問題なく業務が進むものだということがわかるかもしれませんし、ネットの回線やパソコンなどの機器、書類のデジタル化など、インフラの整備に本気で投資しようという動きも出てくると思います。

構成=西川修一

小室 淑恵(こむろ・よしえ)
株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長

資生堂を退社後、2006年に株式会社ワーク・ライフバランスを設立。1000社以上の企業や自治体の働き方改革コンサルティングを手掛け、残業を削減し業績を向上させてきた。その傍ら、残業時間の上限規制を政財界に働きかけるなど社会変革活動を続ける。著書に『働き方改革 生産性とモチベーションが上がる事例20社』(毎日新聞出版)『プレイングマネジャー「残業ゼロ」の仕事術』(ダイヤモンド社)他多数。