出荷制限中の「3種混合ワクチン」
ただし、現在3種混合ワクチンは不足していて出荷制限がかかっています。日本で3種混合ワクチンを製造している製薬会社は1社だけなのに、接種希望者は去年の5倍になったためです。そこで、先日、厚生労働省がある通知を出しました(※4)。
その要点を抜き出すと、「3種混合ワクチンは必要最低限にする」「医療機関は必要以上にワクチンを抱えないようにしなさい」ということです。でも、もともと接種の必要がない人が接種し、ワクチン不足になったのではありません。そして、必要以上にワクチンを抱えている医療機関はないでしょう。
医療機関にこんな通知をするより、今回の百日咳の流行が収まっても、5回目以降の百日咳ワクチンの必要性は変わらないわけですから、製薬会社に大増産を指示するべきです。そうしないと、百日咳は何度でも患者数を増やし、そのたびにワクチンが逼迫し、充足してきた頃には危機感が薄れて接種率が上がらず、また次の流行が起こるという繰り返しになります。
私は、この機会に小児科学会、産婦人科学会、厚生労働省が3種混合ワクチンの「子どもの5回目接種」「妊婦さんの接種」を定期化してくれるといいと考えています。
※4 厚生労働省「百日せきの流行状況等を踏まえた、定期の予防接種の実施及び 沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンの安定供給に係る対応について」
今すぐできる百日咳対策とは
ただ、これから3種混合ワクチンを定期接種にするには、コストを試算し、用法・用量、効果と安全性を確認するために、時間がかかります。まさに流行期の今、百日咳ワクチンの追加接種を受けたいとしたら、定期接種化を待ってはいられませんね。
まずは、近くの小児科や産婦人科に相談してみましょう。私のクリニックでは、3種混合ワクチン希望者のウェイティングリストを作り、入荷し次第ご連絡しています。そのほか、渡航ワクチンを扱っている医療機関で、個別に輸入している3種混合ワクチン「Tdap」を受けるという方法もあります。
ワクチン以外の百日咳の予防方法は、感染症対策の基本を守ること。多くの場合が飛沫感染なので、3密に気をつけます。つまり換気の悪い密閉空間、多数が集まる密集場所、間近で会話や発声をする密接場面を避けるということです。もちろん、こまめな手洗い、マスクも有効です。咳が出る人は周囲に感染を広げないだけでなく、別の人の飛沫を吸い込んで病気をもらわないためにもマスクをしましょう。

