インターネットで育児情報を収集する際に注意すべきことは何か。小児科医の森戸やすみさんは「インターネット上の情報は玉石混交。専門家監修の情報でも鵜呑みにしないほうがいいものもある。お子さんのために情報の真偽を見分けるコツを身につけてほしい」という――。
スマートフォンを操作する女性の手
写真=iStock.com/Sayaka N
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インターネットは便利だけど

先日、「今、ラジオを聞く人が増えていて、過去最多になっている」という話を聞きました。現代では、ほとんどの人がスマホやイヤホンを持っていて、気軽にラジオを聞くことができるようになったからだそうです。

スマホやインターネットの普及により、私たちはいつでもどこでもラジオやテレビ、ニュースサイトなどのメディアに触れることはもちろん、GoogleやYahoo!などで検索したり、SNSやメール、LINEなどで誰かと繋がったり、YouTubeなどで動画を見たりすることができるようになりました。スマホ普及前よりも、情報収集やコミュニケーションが容易になったわけです。

一方、同時に誰もが気軽に発信できるようになったので、世の中を飛び交う情報の量は飛躍的に増え、中にはおかしなものがたくさんあります。一体どの情報が正しいのか、確かめるのが大変です。私自身も、まったく知らない分野の調べ物をするときはとても心もとない気持ちになります。インターネットで検索上位に出てきた情報、SNSで誰かが流した情報が正しいとは限らないからです。

もちろん、子育て情報にも、デタラメなものが多いので注意が必要です。子どもがいる家庭は、仕事だけでなく、家事や子育てなどのやるべきことも多いので、調べ物に多大な時間を費やすのも難しいもの。どうしたら効率的に正確な情報にたどりつけるでしょうか。

おかしな情報が溢れている理由

その前に、そもそもインターネット上に誤った情報や悪意のある情報が多いのはなぜでしょうか。総務省は「上手にネットと付き合おう!安心・安全なインターネット利用ガイド 」という有用なサイトを作っています。その中の「令和6年能登半島地震に関するインターネット上の偽・ご情報にご注意下さい」という特集ページがヒントになります。

このページに書かれた「ネット上の真偽の不確かな投稿の例」を見ると、二次元コードを添付して寄付金・募金を集めたり、不要な工事をすすめてお金を取ったりなどという経済的動機のほかに、不確かな情報でも「知らせてあげないと!」という善意から拡散してしまうことがあるとわかります。

また、無関係の画像を付けて注目を集めたり、存在しない救助・援助を呼びかけて騒がせたりすることで、承認欲求を満たすこともあるようです。YouTubeやInstagram、Xなどの場合、投稿が見られるだけで収益になる仕組みがあるので、たとえ批判されて炎上したとしても、閲覧回数さえ上がれば、注目を集めるだけでなくお金も稼げるのです。