死体が折り重なり、死臭が漂っていた
金沢の憲兵たちと、身寄りの安否を気づかって上京を急ぐ人々とをすし詰めにした列車は直江津を経由して、2日朝、川口に着いた。荒川の鉄橋が大きく傾斜していて、列車はもう先へは進めなかった。ここを起点として東北や信越へ向う汽車には、東京から脱出する負傷者を交えた避難民が、機関車の上にまでアリのようにとりついていた。
憲兵たちは川口からトラックで東京へ向ったが、間もなく道路にあふれる避難民にさえぎられて、一寸きざみの進行になった。また各所で橋が落ちて迂回に迂回を重ね、倒壊した家屋や横倒しの電柱、垂れ下った電線、運び出された家財道具などにも進路をはばまれた。
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