「課題の特定」ヒヤリハットを5Wで分析
続いて、カイゼン活動で解決すべき課題の特定に移ります。ここでは、さまざまな角度から「なぜその事象が起きているのか?」を追求していきます。これには、5Wが役に立ちます。「When:いつ」「Where:どこで」「Who:誰が」「What:何を」「Why:なぜ」という、あの5Wです。
ヒヤリハットの事例を5Wで分析してみます。まず「When:いつヒヤリハットが起きているのか」については、時間帯や曜日、旅客数に関係するかどうか、「Where:どこで起きているのか」については、路線や空港による違いはあるのか、空港のスポット(駐機場)による違いはあるのか、機種による違いはあるのか、という視点で分析しました。
そうすると、お客様にご提供する飲みものやカートに関連するヒヤリハット、相互確認の際の報告が漏れていることによるヒヤリハットなどが起きていることが見えてきました。これが「What:何が起きているのか」にあたります。
また「Who:誰によって起きているのか」については、若年層と中堅以上で分けました。その結果、路線や空港、スポットによる違いはないことが見えてきました。一方で、中堅よりも若年層のCAによるヒヤリハットが多発していることなどが分かってきました。
そして最後は「Why:なぜ」です。それはなぜなのかを考えます。ここまで見えてくると安心して手を緩めがちなのですが、まだまだ課題の特定は終わっていません。さらにカイゼンによって解決すべき課題を特定していきます。

「真因追求」本当の原因は何か
特定の方法にはさまざまな方法がありますが、客室センターでは「インパクト」「緊急度」「頻度」などの項目を挙げ、それぞれの項目について点数で評価するという方法をとりました。点数を合計すれば、最も優先して解決すべきものがわかる仕組みです。
その結果、最も優先して解決するべき課題は、若年層のCAによるカートの操作ミスであることが見えてきました。
ここまでで、現状分析がいかに重要なのかがおわかりいただけると思います。単に「ヒヤリハットが増えているから何か対策をしなければ」というあいまいな状態で解決策を考えても、意味がないのです。
現状分析によってカイゼンで解決する課題が決まったら、次は「真因追求」です。
「まだ課題を分析するのか」という声が聞こえてきそうですが、カイゼンにおいては、現状分析と真因追求がとても重要なのです。ここがしっかりとできれば、解決策は自ずと見えてきます。
真因とは、真の原因や本当の原因のこと。「その課題を引き起こすことになった根本の原因」と言い換えていいでしょう。