「愛」「笑い」などスペイン語にはハッピーな言葉が多い

【3】「スペイン語」はハッピー言語
伊藤裕『老化負債 臓器の寿命はこうして決まる』(朝日新書)
伊藤裕『老化負債 臓器の寿命はこうして決まる』(朝日新書)

われわれは自分の考え、感情を言葉にして表していますが、逆に言葉にすることで気分が規定される面が実は大きいものです。現在、世界で最もよく話されている言語はもちろん英語であり(約13億4800万人の話者)、第2位は標準中国語、11億2000万人、第3位はインド人が話すヒンディー語で6億人です。スペイン語は5億4300万人が話し、第4位です(「25 Most Spoken Languages in the World」「INSIDER MONKEY」2021年8月12日公開)。

最近、仕事でコロンビアを訪れました。コロンビアの人々はスペイン語を話します。わたしはスペイン語がわかりませんが、陽気で楽しそうに話しているように見えました。

実際に、バーモント大学のピーター・ドッズの研究で、最も広く話されている10の言語について分析してみると、スペイン語にはポジティブな言葉(愛、笑い、など)が多いことがわかりました。またスペイン人は悲観的な物言いはせず、あくまで楽観的に語り、気おくれすることなく自然にお世辞を言うことができるとわたしは感じます。

スペインのプエルタ・デル・ソル広場
写真=iStock.com/LucVi
※写真はイメージです

スペインでは公的医療保険に加入すれば医療費は無料

【4】医療に対する安心感

スペインでは公的医療保険に加入すれば基本的に医療費が無料です。もちろん病院の込み具合や医療技術の格差などの問題もありますが、基本は医療が無料という安心感は大きいと思います。

老化負債の返済上手なスペインの人たちから、わたしたちも学べることがあるのではないでしょうか。文化が異なるからこそ、わたしたちがまだ気付いていない発想や考え方に出会えることもあります。それらを日本人向けにアレンジして取り入れることで、思わぬ効力を発揮してくれるかもしれません。

伊藤 裕(いとう・ひろし)
慶應義塾大学名誉教授

慶應義塾大学予防医療センター特任教授、医学博士。1957年、京都市生まれ。京都大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。専門は内分泌学、高血圧、糖尿病、抗加齢医学。世界で初めて「メタボリックドミノ」を提唱。著書に『幸福寿命 ホルモンと腸内細菌が導く100年人生』『なんでもホルモン 最強の体内物質が人生を変える』(以上、朝日新書)など。