30年も生き、がんにならないハダカデバネズミの秘密
人間の話からは少し逸れますが、ハダカデバネズミをご存じでしょうか? このネズミは体長10cm、体重数十g程度で、体の表面に感度の高い細かい体毛しか生えていない特徴的な姿をしています。

このネズミは、極めて長生きします。普通のネズミの寿命は3年ぐらいですが、このネズミは30年生きます。10倍も寿命が長いのです。人間でいえば、1000歳まで生きていることになります。そして、ハダカデバネズミは普通のネズミに比べて、圧倒的に遺伝子の傷が少ないのです。また、このネズミにはがんが起こりません。
彼らは哺乳類では珍しく、アリやハチのように真社会性集団(繁殖する個体が限定されていて、不妊の個体が多数存在し、肉親以外が協力して子育てを担当し、2世代以上が共存している社会)を作っています。光の届かない穴の中で、群れの中で一つのペアだけが繁殖を行い、他の個体は体が小さいものは住まいの穴掘りや食料の調達を行い、大型のものは巣の防衛を担当しています。
こうしたストレスの少ない平和な共同生活様式が、彼らのうまいストレスコーピングとなり、長寿につながっているのかもしれません。
先程お話しした人間のストレスと老化負債の関係性を考えるヒントにもなりそうです。