普及を阻むのは今も昔もキッチンの狭さ

普及を阻むと考えられる要因は、5つある。1つ目で最大の要因は、今も昔もキッチンの狭さだ。先の経産省のレポートでも、「キッチンに置くスペースがない」と明言している。2003年10月7日に放送された「プロジェクトX」(NHK)では、松下電器産業(現パナソニック)が1990年代に食洗機が売れない要因は置き場所がないこととわかり、30センチ幅の置き型タイプを発売したら売れに売れたエピソードが紹介されている。

番組放送から20年余り経った今も、キッチンが狭い問題は解決しないどころか、むしろ悪化している。昨年刊行した日本におけるキッチンの近現代史を調べた自著、『日本の台所とキッチン 一〇〇年物語』(平凡社)で調べた各種アンケートでも、狭さに悩む人が多いことが判明している。私自身が2021年から2023年にかけて60件を超える賃貸住宅を内見し部屋探しをした際も、キッチンが狭い物件が非常に多かった。