「全米を横断しながらウマミソースを広めるツアー」スタート
現在、アメリカのオンラインストアと、全米の500店舗以上のスーパーの棚には、日本で生まれたウマミソースが並んでいる。価格は16.90米ドル(日本円で約2600円)だ。「ウマミソースで、世界中の食卓に和食を」というモエさんのビジョンに、一歩一歩近付きつつある。
日本にいながらアメリカで商品が売れることを願うだけではなく、現地の人に直接ウマミソースの良さを伝えたいと考えたモエさんは、クラウドファンディングで500万円の支援を集め、2024年11月から「全米を横断しながらウマミソースを広めるツアー」をスタートさせた。
モエさんは当初、ウマミソースの販売を推進するため、家族でアメリカに移住することを考えていたが、商品の開発に予想以上の年月とコストがかかり、計画を断念せざるを得なくなっていた。移住ができないなら、車でアメリカをまわればいいと考えたのだ。
「アメリカで商品を広めようとしているのに、私はアメリカのことをあまり知りません。この国のことをもっとよく知りたいですし、消費者の反応も直接知りたいです」

日本のキッチンから全米のスーパーに
現在は、全米各地のスーパーマーケットで実演販売をしている。ツアーを終える1年後には、現在の500店舗での取り扱いを1万店舗まで増やすのが目標だ。
「産後うつからスタートしたのがKimono Momです。自宅のキッチンから動画配信をしていた私が作った商品が、今では海外のスーパーに並んでいるなんて夢があると思います。日本や世界の女性たちが、『モエにできたなら、私にもできるかも』と感じてもらえたら嬉しいです」
「割烹着を着て料理をするモエさんの姿は、『料理は女性の仕事』という固定観念を連想させることにはならないだろうか?」――。筆者の質問に、彼女は「全くそんなことはない」と断言する。
「私の人生と着物は切っても切り離せません。私が一番自分らしくいられるのが、着物を着ている時。たくさんの選択肢の中から自分の意志で選んで着物を着ている私の姿を見てもらうことで、女性にはいつでも選ぶ自由があることを伝えたい」
アメリカ出発直前のインタビューで、準備は万端かと聞いたところ、遠足前日でワクワクした気持ちを隠し切れない子供のような満面の笑みでこう答えた。
「着物だけ持って、必要なものがあれば、あとは現地調達です!」

民放キー局で15年以上、アメリカの政治家へのインタビューや日米外交に関する取材を行ってきた。2024年にタンザニアに移住しライター活動をスタート。現在は拠点を香港に移し、海外で活躍する日本人をテーマに取材を続けている。著書に『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法』(Kindle版)がある。