登校はスーツにネクタイで
ほかの約束事として通学時の服装はスーツにネクタイ、LINEの不使用も決めました。
スーツは記者時代からの戦闘服です。戦う場が短大に変わったからといって安易に変更はしません。夏場も然りです。
スーツの優れた点は、①突然の葬儀出席も可能②筆記具やメモ帳、携帯電話、整体院診察券など必需品を多数収納できる、でしょうか。
①は記者時代に先輩から教わりました。義理が重たい浮世でたいそう役に立ちました。
LINEは広く浸透しているコミュニケーションアプリであることは承知も、個人情報管理への不安があり、記者時代も使いませんでした。ところが困ったことに短大では連絡事項の伝達にLINEを使うようです。発信元の教員に不使用の理由と方針を説明し、当方にはメールかショートメッセージでと頼み了承を得ました。
お手間をかけて恐縮ながら、譲れぬものは譲れません。いずれ同級生との情報交換が必要になったら同じ要請をします。
トイレの入り方にも注意が必要
大事なことを忘れるところでした。トイレへの入り方です。
古い校舎のトイレは入り口が男女共通で、手洗い場所もひとつです。その奥に男女別のトイレが設けられています。
ある日、入り口のドアを勢いよく開けると手洗い場に複数の女子学生がいました。
お化粧を直したり、おしゃべりをしたりしていました。野獣の突然の乱入に彼女たちは驚き、当方を見つめます。あ、ごめんなさい。踵を返して退出、別の校舎の男子専用トイレへ駆け込みました。
以来、ここを使う際は外から手洗い場に女子学生がいないことを確認してから、としました。それはそれで不審な行動ですが、どうかご寛恕ください。
「文太グランパ」になりきって
教員に間違われることが多いのは相変わらずです。
ならば敬愛する教員の模倣を、と考えました。
山下和美さんの名作漫画『天才柳沢教授の生活』と、英国の作家ジェームズ・ヒルトンさんの小説『チップス先生さようなら』の両主人公です。でも柳沢教授のような上品さもチップス先生の生真面目さも持ち合わせぬことにすぐ気付き、早々にあきらめました。
ふと筒井康隆さんの小説『わたしのグランパ』を思い出しました。高齢の男性が正義感と優しさを武器に子どもを守るために奮闘する話です。映画化され、菅原文太さんが主人公を好演しました。
そうだ、しばらくは文太グランパになりきろう。馴染みの履物店で雪駄を買わなくちゃ。スーツに合わなくもない。軽佻浮薄な野獣は迷ってばかりです。