CASE3
「眠れないため、
どうしても睡眠を取りたい場合はついついお酒の力を借りてしまいます」

昔から寝つきが悪く、ベッドに入ってから1〜2時間はゴロゴロしています。
この眠れない時間が不快で、あるとき、お酒をいつもよりも多めに飲んだらそのままコテッと眠ることができたため、今でもついついこの方法をとることがあります。
睡眠薬に頼るよりはマシなのかなと思っていますが……。
お酒の力で眠ることは、やはりよくないのでしょうか?

飲酒にはドラッグと同じ依存性があると認識を

夜中に当然のように酔っ払いが騒いでいるなど、日本はアルコールにとても寛容な国ですが、アメリカなどの諸外国では、アルコール販売や飲酒場所は厳しく規制されています。つまりそれほどアルコールを危険視しているということ。日本ではドラッグ関連のニュースが流れると大騒ぎしますが、それ以上に交通事故でも暴力事件でも、アルコールに起因するものの方が、実は頻発していますよね。そのぐらい精神に悪影響を与えています。

僕としては、アルコールの身体的、精神的依存性はドラッグと同じぐらいある、と認識してほしいと思っています。

酒を飲んで寝る
写真=iStock.com/GeorgeRudy
※写真はイメージです

最初に脳の構造からお話ししましょう。脳という臓器は、中心に向かっていくほど原始的で、外側に向かっていくほど人間的な働きを司る構造になっています。いわゆる中心は欲望や衝動などで、外側がそれらを抑制する働きを持っています。眠るときは外側から徐々に眠っていきます。飲酒して眠るというのは、外側の抑制する働きを、酒の作用で抑制することになります。

抑制の抑制、それはつまり興奮です。お酒を飲むと気分が高揚するのは、そういう仕組みです。さらに飲み進めて、脳の中心に近い呼吸中枢ぐらいにまで酒の作用が到達すると、呼吸までも抑制することに。つまり、死に至る可能性があるわけです。飲酒で命を落としている方、決して少なくはないですよね。だから、酒で眠る、ということは決してよいことではない。それは睡眠ではなく、“昏睡”なのです。

さらに、飲酒は快楽を伴うので、薬よりもやめづらいから厄介です。いろいろな不調が出ても、「眠れたし、まぁいっか」と、依存性が高い。そのあたりも、僕が冒頭でドラッグと同じぐらいという認識を、と話した所以です。