現在の徳川家当主は松平容保の子孫で、祖は家康の末っ子

長男・信康に男子がなく、三男・徳川秀忠の血筋は七代家継で絶えた。四男、五男、七男、八男には男子がなく、六男・松平忠輝には子孫が残っていない(はず)と言われる。

九男・尾張徳川義直の血筋は18世紀末に八代宗睦むねちかで絶えた。次男・秀康の子孫は今に伝えられているが、徳川姓を名乗った者はいない。

現在の徳川家第十九代当主・徳川家広(作家・翻訳家)は、最後の会津藩主・松平容保の六男の長男の次男の長男にあたる。さかのぼれば、そのルーツは家康の末っ子、十一男の頼房だ。

徳川宗家19代目当主として家督を継いだ徳川家広氏。
写真=共同通信社
徳川宗家十九代目当主として家督を継いだ徳川家広氏。2023年1月29日、東京都港区の増上寺で開かれた「継宗の儀」で。

江戸幕府が終焉した幕末以降、徳川を名乗っているのは、家康が60歳以降になってから生まれた、十男・紀伊家家祖の徳川頼宣、十一男・水戸家家祖徳川頼房の子孫だけなのである。あの時、がんばっていたから、今がある。そんな感じといえよう。

菊地 浩之(きくち・ひろゆき)
経営史学者・系図研究者

1963年北海道生まれ。國學院大學経済学部を卒業後、ソフトウェア会社に入社。勤務の傍ら、論文・著作を発表。専門は企業集団、企業系列の研究。2005~06年、明治学院大学経済学部非常勤講師を兼務。06年、國學院大學博士(経済学)号を取得。著書に『企業集団の形成と解体』(日本経済評論社)、『日本の地方財閥30家』(平凡社新書)、『最新版 日本の15大財閥』『織田家臣団の系図』『豊臣家臣団の系図』『徳川家臣団の系図』(角川新書)、『三菱グループの研究』(洋泉社歴史新書)など多数。