共働きで忙しい…子供にできるサポートは?

夏期講習期間に保護者から多く受ける2つの質問について、回答します。

Q.親が気を付けるNG行動は?

A.小4、5のご両親に気をつけてもらいたいのが、同じ単元、同じ問題の復習時間をむやみに設けないことです。どうせ何回も復習できる……と子供が思うと集中力がなくなり、理解が浅くなります。多くて復習は期間をあけて2〜3回にとどめ、その分遊び時間を確保した方が結果につながります。

また、「覚えなさい」といった言い方は避けてください。子供は親や先生に怒られないようにやり方だけをそのまま覚えて、その場を乗り切ろうとします。この学習方法だと小6での応用問題に立ち向かえなくなります。「これ、どうやって解いたの? 教えて」と原理原則の理解を意識させるスタンスが良いでしょう。

小6の子を持つご両親は、決して否定的な言い方をしないように気をつけてください。マイナスな言葉は、そのまま子供の心に入り、「どうせできない……」というマインドをつくります。「勉強しないと合格できない」ではなく、「すればきっといい結果が待っているよ」とポジティブな言い換えを心がけてください。

Q.共働き夫婦ができることは?

A.一番大切なのは子供を信じ、子供の努力を認め、励まし続けることです。朝、勉強していたらその頑張る姿を褒めてやってください。そして夜は学習してきたことを聞き「そんな難しいことをやっているんだね。ちゃんと理解できてえらいね」と認めること。

また、前日に約束した勉強内容ができていなくても怒らないでください。怒ると子供はやったふりできたふりをするようになります。できなかったことは親子で相談して翌日以降のスケジュールに組み込みましょう。子供が約束を果たせたら、大いに評価してください。

このように平日はコミュニケーションをとりながら応援し、休みを一緒にスケジュールをつくる日にするなど工夫すれば、共働きでも十分に、子供をサポートできます。

親の役割は「勉強を教えること」ではない

最後に、私からお子様へ、そして保護者のみなさんにメッセージをお送りしたいと思います。これから始まる夏期講習、“子供が疲れていないか”に目を配りながら、有意義なものにしてください。

【小4、5の中学受験生へ】
塾であったことやその日勉強したことを、どんどんお父さんやお母さんに話しましょう。うまく説明できなくても大丈夫です。難しかったことも、話して、相談することで自分の頭が整理されますよ。
【小4、5の親御さんへ】
「子供が勉強嫌いになっていないこと」が大切です。そのためにも勉強計画にはメリハリをつけ、毎日会話する習慣をつくってください。また点数ばかりが気になってしまうかもしれませんが、学習プロセスに目を向ける夏にしましょう。子供のいい点や、彼らなりに頑張っている部分を見つけてください。子供の話を聞いたり、塾でやってきたプリントを見たりすることで、きっと褒めポイントが見えてくるはずです。
【小6の中学受験生へ】
「とりあえず解いてみる」勉強法から、「確実に正解する!」姿勢に意識を変えていきましょう。目の前に出された問題に、受験当日だと思って取り組んでください。はじめて見る問題もあるでしょうが、絶対に解いて見せると強い気持ちを持つことが大切です。
【小6の親御さんへ】
親も気持ちを切り替えて、誰よりも心強いわが子の応援団長として最後まで走り抜ける覚悟を決める夏休みにしてください。もし子供の成績が思うように伸びなくても「今からの頑張り次第でなんとかなるはず」と、まずは自分が子供を信じた上で「まだ間に合うよ!」と本番当日まで伝え続けてください。

すべてのご家庭が幸せな中学受験を経験できるように、心から応援しています。

西村 則康(にしむら・のりやす)
中学受験のプロ家庭教師「名門指導会」代表/中学受験情報局 主任相談員

40年以上難関中学受験指導をしてきたカリスマ家庭教師。これまで開成、麻布、桜蔭などの最難関中学に2500人以上を合格させてきた。新著『受験で勝てる子の育て方』(日経BP)。