「ただその国に住んでいるだけ」の移民家族と共存できるか
様々な国にルーツを持つ人が住んでいるドイツでは近年「Parallelgesellschaft」(和訳「並存社会」)が問題になっています。「並存社会」とは移民やその家族が社会と「共存」することなく、その国の文化や社会と交わりがないまま「ただ存在しているだけの状態」を指します。
日本とは違い移民が多いヨーロッパでは「異文化背景を持つ人々」が移民先の国の社会通念を受け入れないまま、何代にもわたり独自の価値観で生活をした結果、一部の人達が孤立を深め犯罪に走っているのです。ドイツで社会問題化しているのが「マラミエ・クルド人の大家族」による犯罪です。
有名なものとして、2017年に発生し日本でも報じられた「ベルリンのボーデ博物館の巨大金貨盗難事件」があります。当時、重さが100キロで400万ドル、当時の換算レートで日本円にして約4.4億円の巨大な金貨が盗まれました。
裁判では「ボーデ博物館の巨大金貨盗難事件」の実行犯の4人のうち3人がRemmo氏族に属する当時20歳のアーメッド(Ahmed)、彼の4歳年上の兄ウェイチ(Wayci)および彼らの従兄弟で22歳のウィッサム(Wissam R.)氏だということが明らかになっています。金貨は現在も見つかっていません。
クルド人だけでも約200万人、相次ぐ「大家族ぐるみ」の犯罪
ドイツで「組織的な犯罪をしている大家族」には前述のRemmo氏族のほか、Abou-Chaker氏族、Al-Zein氏族、Omeirat氏族、Miri氏族などがいます(※1)。後者のMiri氏族は昨年ベルリンで貸金庫を破壊し、84億3241万分の現金や貴重品を奪う事件を起こしています。
それぞれの「家族」が主に男性陣を動員し、犯罪に手を染めていますが、その内容は「警察官のふりをしてドイツの高齢者からお金を騙しとる詐欺」、資金洗浄(マネー・ロンダリング)、拳銃の不法所持、強盗、窃盗、恐喝、見かじめ、暴行、性犯罪、傷害罪、器物損害、覚せい剤や麻薬の密入、売春のあっせんなど多岐にわたります。
彼らのルーツはシリアやイラクとも近いトルコの南東アナトリア地方にあるマルディン県です。その多くが20世紀にレバノンに渡っています。1975年にレバノンで内戦が起きると、彼らは東ドイツを経由して当時の西ドイツにやってきました。彼らは「子沢山」であるため、夫婦に子供が15人いることも珍しくありません。また若くして子供を持つ傾向があるため、約半世紀が経った今、二世、三世、四世の彼らもドイツで生活をしています。ドイツの連邦刑事庁によると約200万人のマラミエ・クルド人(※2)がドイツに住んでいます。大家族には叔父、叔母、いとこ、はとこ等も含まれるため、ひとつのファミリーが「何千人という規模」であることが珍しくありません。