マンション家賃は東京以外でも上昇している

こうした価格上昇は東京だけで起きている現象ではありません。図表3は日本の主要都市の家賃推移です。大都市圏の多くでマンションの家賃が上がっていることに注目しておきましょう。

家賃が上昇すれば、「このまま賃貸で住むよりも、買ったほうがお得」と考える人が増え、物件価格が上昇する要因になりますから、主要都市部の物件価格はまだ上がると考えていいでしょう。

一方で、持ち家は大きな買い物ですから、「万が一リーマン・ショック級の不況が来たら不動産価格が暴落するんじゃないの?」と心配する方もいると思います。

でも、たとえそのような金融危機が起きたとしても、こと不動産に関しては暴落は考えづらいでしょう。実際、図表4のようにリーマン・ショックの渦中でも不動産価格の下落は10%程度でした。もちろん、1991年のバブル崩壊時は不動産価格は大きく下落しましたが、現在は企業の収益増や賃金上昇などの実態を伴う景気回復であり、バブル状態ではないと考えています。

余談ですが、時々、不動産価格が暴落するまで自宅購入を待っている方がいますが、暴落するまでの家賃支払額もバカにはなりません。暴落時期、暴落確率および価格の下落幅を踏まえると、有効な作戦だとは思えません。

都心の好立地物件は背伸びしても買ったほうがいい

話を戻しましょう。勤務先に近く、かつ駅近の物件へのニーズは引き続き堅調であり、インフレや職住近接ニーズの追い風を受けて都心部の不動産価格は上昇する可能性が高いでしょう。不動産を短期売買するような方でなければ、それほど不動産価格の下落を心配する必要はないと思います。

むしろ、これから本格化するインフレに備えるという意味で、積極的に価値ある不動産を買っておくことが大切です。収入やご家庭の状況にもよりますが、もし少し背伸びすれば都心の好立地物件が手に入るという方は、若干のリスクを背負ってでも家を買うのは一つの手段だと思います。