新築マンションの年間供給戸数は山手線内で1000~2000戸
それではここで、実際にどれくらい値上がりするのかを予想してみたいと思います!
今後、2030年にかけてとくに値上がりが見込まれるのが、図表2にあるように、港区や渋谷区、新宿区、千代田区など東京都心部(図の中央部分)です。
不動産価格は一般的に、新築マンションがプライスリーダー(価格先導役)となり、それにつられて周辺の中古マンション価格も値上がりする動きを見せます。ですので、まずは新築マンションの価格がどうなるかを考えてみましょう。
新築マンションの年間販売戸数は現在、東京23区内で1万戸、山手線内だとわずか1000~2000戸程度といわれています。23区内に住んでいる人は約1000万人いますので、極端な例ですが、そのうちの1万分の1である1000人が買える値段であれば、物件は売り切れます。
つまり、不動産を販売するデベロッパーにとっては、売る価格を「みんなが買える値段」にする必要はないのです。先述したインフレや低金利もあって不動産購入意欲は相当強く、高所得者1000人を相手にすればビジネスが成り立ちますから、低価格競争が起きる可能性は低いです。
東京都心の中古マンションは2億円になってもおかしくない
さらに最近は海外投資家が買ってくれるケースが増えているので、日本人に売る数はもっと少ない人数、たとえば500人くらいでも問題ないかもしれません。そうなると、値付けはより強気になってくると考えてもおかしくはないでしょう。
こうした新築マンションの強気の相場を踏まえると、東京都心部の一般的な中古マンション(70平方メートル)は今のところ1億円が相場ですが、今後10年で2億円程度に値上がりしても不思議ではありません(もちろん不動産なので、短期的には価格調整はあるとは思いますが)。
なお、2億円という水準は、医師や投資銀行マンなどのプロフェッショナル職、商社などの高年収企業のパワーカップルの世帯年収(3000万円程度)を前提に、ギリギリ買える許容額として算出しました。
以上のように、山手線内のエリアでは、基本的には年収3000万円以上のエリートサラリーマンや経営者、海外投資家が家を買い、一般的な世帯はその周りに住むことになると思います。