インフレで不動産価格が上昇することは理解できても、人口減少で下落するリスクもある。マイホームは買うべきか、やめておくべきか。住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を運営するMFS取締役COOの塩澤崇氏は「東京・山手線内の新築マンションの供給戸数は限られるので、10年後には中古マンションの価格が2倍になってもおかしくはない。いま買える人は背伸びしても買っておいたほうがいい」という――。

※本稿は、塩澤崇『金利が上がっても、住宅ローンは「変動」で借りなさい 1時間でわかる「新時代のお金の常識」』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

東京、文京区の夕暮れ時の街並み
写真=iStock.com/Sean Pavone
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緩やかなインフレと低金利で家を買うチャンスは続く

これからの日本は、緩やかなインフレになることに加え、マイナス金利が解除されたとはいえ、依然として低金利であり、家を買うのに有利な時期が続きます。

でも、「日本は人口が減るから、不動産の価格は下がるのでは?」と心配している人もきっといらっしゃるでしょう。その疑問はもっともです。

多くの人が知るように、今後、日本の都市部を除く地方では若者が減り、働き手がいなくなることが予想されます。日本全体として見れば人口減少時代の真っ只中にあり、2100年の人口は現在の半分以下になるという予測まであるくらいです。図表1の通り、もはや、平成までと令和以降は別の国と考えたほうがいいでしょう。

人がいなくなれば、これまでにあった生活に必要なサービスを受けられなくなるおそれがあります。実際、地方では採算が合わない鉄道路線が廃線になったり、病院がなくなったりといった問題が起きていますから、ますます地方から人が離れていくでしょう。

「家を買う場所」は慎重に選ぶ必要がある

すると、不動産の価格は落ちていきます。たとえば千葉市緑区に通称「チバリーヒルズ」と呼ばれるバブル期にできた分譲住宅地があります。販売当初は1軒あたり5億~15億円ほどで売買されていたようですが、バブルが崩壊して今や1億円ほど。買った物件によっては完成した頃の価値が10分の1になってしまっています。

とはいえ、このような値下がりのリスクは、今後の日本社会を見据えたうえで、「家を買う場所」を慎重に選べば避けられます。

そもそも人口減少は日本全体でひとしく起こるものではありません。都心部ではむしろ人口集中が起きると私は予測しており、地方や郊外とは分けて考える必要があります。

繰り返しですが、昭和や平成の時代は人口増加でした。土地開発は郊外へ郊外へと広がりを見せていました。新しい道ができ、コンビニやファミレスなどのロードサイド店が数多くできた時代です。「都心部の混雑は避けて、郊外で緑に囲まれてゆっくり暮らしたい」と郊外ライフに憧れる人も多かったことでしょう。