好きなことやこだわりは大事

言うまでもありませんが、好きなことを仕事にするのは実に大事なことです。

私の周囲の20代の人たちには、学校の先生になりたい人や、税理士などの士業をめざしている人たちがいます。

「その仕事に就かなければ自分ではない」という程の思い入れを持った人もいて、彼らと比べれば、20代の頃の私などは、「グローバルな仕事」にこだわりがあった程度で、かなりアバウトに考えていたほうかと思います。

それでも「好きなこと」というのは、必ずしも職業、業種、会社などを特定して説明できなくても、外を飛び回って、人とコミュニケーションをとる仕事が自分に合っているとか、商品を開発するような仕事がしたいといった括り方でもいいのです。

白い背景にハートシンボルを形作る手
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自分が熱心に取り組めるか

自分が就いた仕事に満足できる人ばかりではありませんから、今の仕事にそれなりに熱心に取り組みながらも、「この仕事をしていていいのだろうか」と悩む人がいるのは、何ら不思議ではありません。

私自身も米国で大学の学部を出てからは、そのまま現地でセールスマンとして働いていましたが、20代の後半に差しかかる頃には、必ずしもセールスマンという仕事を続けたいとは思っておらず、どんな仕事なら自分が成功できるかということも、見当さえついていませんでした。

同じような経験をする人は多いと思いますが、そうして悩んでいるときも、自分が熱中できることは何なのか、考え続けるのは必要だと思います。

これなら熱心に取り組めそうと思ってはじめた仕事も、実際にたずさわってみると、思いのほか好きになれないとか、向いていないと感じることもあるかもしれません。

それでも「どうせ、やってみないとわからないから」と、運を天に任せるような仕事の選び方をしては、成り行き任せで、行き当たりばったりとなってしまい、熟考して選択する体験をすることとは違ってきます。

自分が熱意を持って取り組める仕事は何か、どんな仕事だと自分の力を発揮できるのか。これは難しくても、向かい合って考えなくてはならないテーマです。

「はじめは興味を持てるかわからなかったけれど、やっているうちに好きになった」。こんなふうになればラッキーですが、そうした展開を期待して、考えることを投げ出すのを勧める人は少ないでしょう。