令和の皇室に「テーマ」が必要なワケ
テーマの代わりに令和の皇室と国民をつないでいるのは、天皇ご一家の仲睦まじさだ。その中心にいるのは愛子さま。
その証拠に、というほどでもないが、4月から開設された宮内庁のインスタグラムでこれまでに一番「いいね!」を稼いだのは6月13日にアップされたご一家のプライベート写真だ。
5月に御料牧場で撮影されたもので、愛子さまが筍を掘るキュートな写真は陛下が撮影、「いいね!」は7月1日現在で66万9000だ。
英国訪問時、宮内庁はこまめにインスタグラムを更新していた。最も「いいね!」がついた投稿は、晩餐会での国王ご夫妻と陛下と雅子さまの4人の記念写真で、同じく7月1日現在で19万6000。訪英という意義あるイベントより、ほのぼのとした日常ということか。
訪英中のご様子を追いかけまくって、ほのぼのは陛下の雰囲気そのものだ、としみじみ感じた。
だからこのままでいいかと言われると、やはりそうとは言えない。今のうちに令和の「テーマ」を打ち出すことだと思う。次代を担う男子が秋篠宮家の悠仁さまだけという待ったなしの皇室が続いていくためには、「ほのぼの」に加え迫力が必要に思う。現実とつながる問題意識、それを感じさせてほしいのだ。
ジェンダー平等の特効薬は「愛子天皇」
突然だが、それは「愛子天皇」だと思う。平成のお二人が、昭和の積み残しである「戦争」をテーマにした。平成が積み残したものは、「ジェンダー平等」だ(と言い切ってしまう)。6月に発表された日本のジェンダーギャップ指数は世界118位で、G7(主要7カ国)では最下位だ(ちなみに英国は14位)。政治と経済の分野が足を引っ張っている。
特効薬は「愛子天皇」だと思うのだ。実現すれば、ジェンダーを取り巻く空気が一変する。「男系男子」の壁を破ることが生み出す効果は、計り知れない。女性がいる会議は長いとか、管理職になりたがる女性が少ないとか、そんなことを口にする人はいられなくなる。本気でそう思う。
と、最後にV&A子ども博物館の話に戻る。英国のジュリア・ロングボトム駐日大使(前職は英国外務省コロナ対策本部長、ジェンダーギャップ指数14位!)は6月12日、国賓を迎え入れるにあたっての記者会見をした。記者から出た質問に「英国の40年における変化」があった。
陛下がオックスフォード大に留学していたのが40年前、その間の英国社会の変化をどう感じとってほしいかという趣旨だった。大使は「英国社会は変貌を遂げた」とし、その第一は「多様な社会になった」ことだと答えた。「人種、バックグラウンドがさまざまな人が集まり、仕事をし、生活する社会になった」と。
それを感じられる場所としてあげたのが、V&A子ども博物館だった。それはロンドン市内でも人種的にさまざまな人が住んでいる地域にある。この博物館がそのコミュニティーで重要な役割を果たしていることを陛下に感じていただけたら幸いだ、と語った。
Do you find it difficult? そう陛下が話しかけた少女は、ヒジャブをつけていた。折り紙ワークショップに参加していたのは、さまざまな国にルーツがある子どもたちだった。ヒジャブの少女は陛下の問いかけに、「No」と答えていた。そうだ、難しいことはない。愛子天皇への道も、必ず見つかるはずだ。