65歳受給と75歳受給の手取りはいくら?

以上から、65歳受給と75歳受給の税金・社会保険料と手取り額を計算してみましょう。

●65歳受給の場合

〈65歳〜75歳未満〉
税金・社会保険料=18万150円
手取り=154万7850円
手取り/額面≒89.6%


〈75歳以上〉
税金・社会保険料=16万447円
手取り=156万7553円
手取り/額面≒90.7%
●75歳受給の場合
税金・社会保険料=50万5025円
手取り=267万4495円
手取り/額面≒84.1%

65歳受給ではなく、75歳受給にすると、年金額面は1.84倍になりますが、手取りで考えると、267万4495円÷156万7553円≒1.71倍となってしまいます。

年金額面が増えることによる手取り額の変化をみてみましょう。試算の条件は次のとおりです。

条件
・東京都文京区在住、75歳以上、扶養親族無し
・所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみで計算

【図表】年金、手取り、税金、社会保険料の推移
作成=Money&You

年金の繰り上げ・繰り下げは手取り額で考える

「所得税や住民税が多い」というイメージがあるかもしれませんが、年金から控除される金額でもっとも多いのは、後期高齢者医療保険料です。次いで住民税です。

繰り下げ受給をすることで確かに手取りは増えるのですが、額面ほどには増えません。老後の年金額は手取りで考えて、受給開始年齢を決めるようにしましょう。

なお、税金・社会保険料は他の所得・年齢・家族構成・お住まいによって変わります。

ご自身の正確な情報は年金事務所・年金相談センターなどでご確認ください。

頼藤 太希(よりふじ・たいき)
マネーコンサルタント

Money&You代表取締役。中央大学商学部客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に現会社を創業し現職へ。ニュースメディア「Mocha(モカ)」、YouTube「Money&YouTV」、Podcast「マネラジ。」、Voicy「1日5分でお金持ちラジオ」、書籍、講演などを通じて鮮度の高いお金の情報を日々発信している。『はじめての新NISA&iDeCo』(成美堂出版)、『定年後ずっと困らないお金の話』(大和書房)、『マンガと図解 はじめての資産運用 新NISA対応改訂版』(宝島社)など書籍100冊、著書累計170万部超。日本証券アナリスト協会検定会員。宅地建物取引士。ファイナンシャルプランナー(AFP)。日本アクチュアリー会研究会員。X(@yorifujitaiki)